俺の前から
〇〇を連れ去った
ユチョン――
”俺の恋人”と
あからさまな態度は
とらない。
ただ時折
〇〇に見せる
甘えたような表情――
〇〇の心を
離さない様に
しているのではないかと
俺を不安にさせる。
そして〇〇も
別れる決心を
揺るがして
いるのでは
ないかと‥
焦る心を
抑えながら
〇〇との
距離を徐々にでも
縮めようとしていた。
「あ!〇〇。
もう治ったのか?」
ここ数日
おでこに
貼られていた
絆創膏が
今日はなかった。
「はい。
もう取っても
大丈夫かなと
思って。」
「本当に?
ちょっと見せて――」
「あ・・あの・・
店長??・・」
〇〇の前髪を
スッとあげて
傷痕を確認した。
そして俺は
大胆にも
そのおでこに
キスを落とす―――
「ぇ゛っっ!?」
〇〇が聞いたことも
ないような声を
出して驚いている。
「おまじない。
傷跡が早く
消えるように。」
「あ・・・・」
〇〇と俺しか
いないと思って
いたこの空間に
いつの間にか
ヒョンジュンが居た。
「余計に悪化
すんじゃない?
傷口にばい菌
入ったりして。
なぁ~〇〇?」
「!?ヒョンジュン!!」
「あ、そういえば・・・」
〇〇がおでこに
手を当てるマネをした。
「おいっ!
〇〇まで何だよ!?」
二人して
俺をからかって
笑っている。
「そうだ。
俺、来週には
店に立てるから。」
ヒョンジュンの
足が完治して
完全に復帰できる。
「そうなんだ
良かったね。」
「そうか
良かったな。」
ヒョンジュンが
戻って来る――
それは〇〇が
ユチョンに別れを
告げてここを
出て行くことを
意味していたはず。
「〇〇・・・」
「このお店とも
あと一週間で
お別れですね。」
〇〇が浮かべた
淋しそうな表情――
ユチョンと別れるのが
淋しいからか
店を去るのが
淋しいからか。
どちらが〇〇に
そんな顔をさせるんだ・・
「何で辞めるの?」
ヒョンジュンの
問いに二人で
黙った。
「何で黙んの?」
ヒョンジュンは
俺たちを見て笑う。
「もうすぐユチョンも
辞めるんだろ?
うちの店の
スタッフ減っちゃうじゃん。
困るよな?店長!?」
「え!?・・あぁ・・
困る・・」
「だって?○○。」
「あ・・うん・・
でも・・」
「”でも”?
・・ま、いっか。
俺は辞めて
欲しくないよ。
個人的に――」
ん!?
「そう思ってる
奴は他にも
いると思うし・・
じゃあ俺は
帰るから。」
他にもそう
思ってる奴って
俺のことか・・
ヒョンジュンは
俺に〇〇と
話す時間を
与えてくれたみたいだ。





