ジェーン(ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーを夢見て映画業界への就職を果たす。会長付きのアシスタントとして働き始めるが、実際は会長のスケジュールに合わせた車や宿泊の手配、資料のコピー、奥さんの愚痴の処理と、雑務の数々。そんな日々のなかに混じる違和感。会長室に落ちているイヤリング。アシスタントには不向きな若い女性の雇用。深夜遅くにオフィスの残る会長と女優を目指す女性客。

ついに我慢できなくなったジェーンは、会社のカウンセラーのもとを訪れるのだが…。


映画業界のセクハラというと、数年前にMeToo運動にもなったワインスタインの事件が思い出されるが、あの事件にもたくさんのジェーンがいたのかもしれない。こんなことはおかしい…何とかしなければ…とは思っても、ジェーンのように諦められない夢や、失業への恐怖が頭をよぎってしまう。


誰よりも早く出社したジェーンが帰宅するまでの1日の出来事。大きな事件が起こるわけではないけれど、ジェーンの中での決定的な変化を私たちは共有するのだろう。

勇気を出して!というのは簡単だが、そうはなれない多くのジェーンである私たちに突きつけられる「わたしは(あなたなら)どうする?」

自分の見て見ぬふりが、誰かのセクハラや虐待を助長させてはいないか、そういうものだと慣れてしまってはいないか。自分に問いかけられているようだ。


監督:キティ・グリーン

2019年/アメリカ