「永遠を壊したのは、僕。」というなんとも不穏なキャッチコピーと、少年の大きな瞳に惹かれて映画館へ。


美しい花畑の中を軽やかに疾走する2人の少年、レオとレミ。些細なことで笑い合い、寄り添って眠る。幼馴染の2人にとっては、常に隣に互いの存在があるのが当たり前だった。物語の前半は、そんな2人が中学へと進学。いつものように寄り添っている時、クラスメイトからからかいの声が。兄弟のようなものだと説明しても、2人の距離感はカップルのようだと指摘されてしまう。さらにレオは容貌が女の子のようだとも揶揄され、急激に周りの目が気になってしまう。急に余所余所しくなるレオに戸惑うレミは、とうとうレオ自分の感情をぶつけ、大喧嘩になる。それから距離をおいた2人に、急な別れが訪れる。

後半は、レミを失ったレオの後悔と苦悩が静かに描かれる。親しい友を失ったという喪失感だけでなく、彼を死に追いやったのは自分のせいではないかという罪の意識に苛まれるレオ。ラストシーンは、彼がレミの死を乗り越えるのではなく、彼の死を後悔や罪悪感とともに受け入れて生きていこうとしているように思えた。


主演のレオを演じるエデン・ダンブリンの瞳にとにかく惹きつけられる。特に、距離感を指摘された後の、この距離(CLOSE)は問題ないのか?この触れ合いは誤解されないか?と、周りを忙しく見やる目。周りから自分がどう思われているか…という思春期特有のものだけでなく、セクシュアリティへの恐れのようなものも感じる。そういった不安定さを見事に体現していた。


この映画は、レオとレミ以外の情報がほぼ皆無。彼らがどこに住んでいるのか、親の職業も2人の家庭環境も断片的でしかない。レミの死因さえ明確には明かされない。2人の関係に集中させるためとも思えるし、2人が見ている世界とも思える。爽快にはなれないけれど、思春期のもどかしさや痛みが思い出される映画かな。


監督:ルーカス・ドン

2022年/ベルギー・フランス・オランダ