アニメで一気にファンになった「SPY×FAMILY」のミュージカル化!しかもロイドを鈴木拡樹が演じると聞いて、居ても立ってもおられずチケット購入。この人の演技のうまさは言わずもがなだけれど、歌…歌ってたっけ?と一抹の不安はあれどいざ博多座へ。 



博多座の入り口の真上に、クワトロキャストのアーニャちゃんたちがお出迎え。かわいい!



流石に子ども連れが多い。しかも、普段ならミュージカルとかに興味なさそうな低学年くらいの子たちも結構いて、原作及びアニメの人気が伺える。


大筋は、エージェント黄昏(鈴木拡樹)が、新たな任務を受け、家族を作ることになるところから、アーニャ(井澤美遥)が合格しお城でお祝いするまで。その中に、弟のことや、フィオナの話を挿入している。


原作から少し順序を変えたりはしているが、無理のない範囲。大筋をアーニャの入試に絞っているため、わかりやすい。


ロイド・フォージャーことエージェント黄昏は、鈴木拡樹。演技力の高さ、役への入り込み方のすごい役者だとは認識していたが、今回も、しっかりロイドだった。任務の時の厳しい表情、アーニャに向ける柔らかな表情と凄腕のスパイらしくその場その場に1番相応しく振る舞うのはお手のもの。ちょっと心配だった(失礼)歌も、柔らかな発声と、何より声に感情がのっててとてもよかった。アーニャとのコミカルな演技もチャーミング!魅力的なロイドだった。


アーニャは井澤美遥ちゃん。出てきた時から会場を釘付けにする可愛らしさ。アーニャ独特の言葉遣いもあるけれど、体いっぱいを使った仕草と表情に目が離せない。心の声が聞こえるアーニャならではの、不安感もちゃんと伝わってきた。出てくるだけで場を持っていくのは流石の存在感。


椿姫というコードネームを持つ殺し屋ヨルを佐々木美玲。スタイルよくないと着れないヨルの仕事着(暗殺用)を見事に着こなし、ちょっと天然なところもキュート。殺陣もカッコよかった。あとは歌。素直な発声だが、その分感情が平坦に聞こえて残念。ミュージカルはやはり歌でどれだけ感情を表現できるかなので、そこはもう一歩という感じ。ロイドとのデュエットは声質は違うものの、息ぴったりでとてもよかった。


超シスコンの秘密警察、ユーリ・ブライアは瀧澤翼。目元がスッとしているので、厳しい表情がとても似合う。その彼が、ロイドと対峙する場面でのコミカルな演技が可愛らしい。声もよくて、歌も素晴らしかった。


ロイドの上司に当たるシルビア・シャーウッドを朝夏まなと。鉄の女をカッコよく演じていた。歌のうまさもさすが。この人が出ると場が華やぐ。


今回アーニャについで心惹かれたのが、ヘンダーソン先生役の鈴木壮麻。歌が上手い!そして声がいい。さらに白髪のポニーテールがかわいい!笑

厳格なヘンダーソン先生が時折繰り出すコミカルな演技についにやにやしてしまう。こういうベテラン役者さんがいると、芝居がしまっていいなぁ。


今回はオーケストラピットもあって、生演奏。さすがの迫力でよかったし、アンサンブルの方たちの歌もダンスも素晴らしかった。


カーテンコールは3回。2回目のはけるところで、ヘンダーソン先生とユーリが並んでスキップして帰ってて可愛らしかったのと、全力で走り込んでくるアーニャを腕でここまで!と止めてるロイドが本当にパパで微笑ましくて会場からも笑いと拍手が送られていた。


アニメのイメージを壊さず、きちんとミュージカルに仕立てているところがいいなと思って調べたら脚本・演出ともにG2。存じ上げなかったが、ググったらミュージカル「マイ・フェア・レディ」の演出をされてる人だった。納得。


帰り際、前にいた親子連れの子どもさんが「面白かった〜!」と言っていて、子どもにもちゃんと面白さは伝わるんだなぁと嬉しくなった。