原泰久原作の「キングダム」の舞台化。半信半疑で見た実写版映画が期待以上だったので、舞台化は楽しみだった。しかも脚本が藤沢文翁。あの壮大な物語をどう描くのかワクワクしながら劇場へ。





普段の劇場、特に漫画を原作とするいわゆる2.5次元ものは圧倒的に女性が多いけれど、今日は男性も多い。特に年配の方が多くて、作品として非常に人気があることを実感させられた。


基本的には、原作の1〜5巻に当たる王都奪還編。第一部は、信と漂が大将軍を目指す約束をするところから、信が政と出会い、政が山の王である楊端和と盟約を結ぶまで。

第二部が、王都への帰還から、戦闘、制圧まで。


たくさんのエピソードの中から、重要な部分を取り上げなければならないから、どうしてもカットされる部分はでてくる。そこを、村からの逃走などの冗長な部分(信と政の関係性の上では必要だけれど)は時間経過として見せたり、舞台転換を使って咸陽の成きょうたちのエピソードを組み込んだりとうまくつなげている。たくさんの登場人物が出てくる作品だけれども、登場人物を絞っている分、無理のないよう台詞を割り振っていた。

大きな変更点は、第二部の出陣前夜、本当に自分は王に足るのかと自問する政が、「あなたは王になれます!」と言い切った紫夏を思い出し、回想シーンが挿入されたところだが、紫夏の思いを受け、決意を新たにするという意味が加わったように感じた。

オープニングとラストの演出も個人的にはとても好き。


今回はWキャストが多いため、誰との組み合わせかでも見応えがあると思う。今回の配役はコレ。



今回の信は三浦宏樹。おバカだけれど真っ直ぐで熱い信を好演。とにかく体がよく動くので、見ていて気持ちがよい演技。

政と漂を小関裕太。明るく聡明な漂は伸びやかに、政はクールだけれど、芯のある人物として演じ分けていた。特に戦闘シーンで袖を押さえながら戦う姿が美しくてため息が出た。


てんは川島海荷。ともすると殺伐とした空気になるところで、場を和ませる役割を果たしていた。声がよく通って聞きやすい。なにより衣装が可愛かった。 


そして王騎を山口祐一郎。アニメでの独特の語り口と全く同じではないけれど、只者ではないぞ感はバシバシ伝わる。昭王との抑えたシーンとの落差もさすが。この人が出てくると場の雰囲気が変わる。


成きょうを神里優希。登場シーンで椅子に座ってる時は感じなかったけれど、椅子から立ち上がったら大きくてびっくり笑

でも、王族のプライドに凝り固まってるやな奴感はしっかり伝わってきていい演技。ラストの政にボコボコにされるところは大きい分迫力があった。


そして紫夏を演じたのが朴璐美。姐御肌の女性は流石にハマり役だけれど、この紫夏は情にも厚い人物。政の心を救う大切な人物を、懐の大きな優しい女性として演じた。登場時間は短いけれど存在感は抜群。


子役の2人も殺陣がしっかりしていて頑張ってた。どうしても声が高いのでセリフが時々聞き取りにくくなるのが難点だけれど、2人ともよく動いていた。


カーテンコールは3回。

2度目は三浦宏樹と小関裕太がそれぞれ子役を可愛がってて微笑ましかった。

3度目は捌ける際に、王騎役の山口祐一郎が政の子役くんをひょいと持ち上げていて思わず会場から拍手と笑いが漏れていた。

見応えのある舞台。千秋楽は配信もあるそうなので、違う配役でも見たいかも。