「登場人物がみんなクズなんだけど・・・」

友人のなんともすごい誘い文句で鑑賞決定(笑)

原作を読んでいた友人によると「ずいぶんマイルドな仕上がり」になっていたそう。

 

過去の恋人黒崎(竹ノ内豊)を忘れられないくせに、ずるずると10以上年の離れた陣治(阿部サダオ)と同棲を続ける十和子(蒼井優)。陣治が仕事に出た後は、黒崎との旅行のDVDを見たり、壊れた時計のクレームの電話をしたり…と自堕落な生活。陣治に食事の準備から、マッサージまで全てゆだねるくせに、体の関係は簡単に許さない。なんともバランスの悪い二人の同棲生活。その十和子の前に、クレームをつけていたデパートので宝飾係の責任者として水島(松坂桃李)が現れる。スマートな物腰の水島に惹かれ、関係をもつようになった十和子の前に警察が黒崎が失踪していることを告げる。同じころ、自分の行動を陣治に監視されていることに気づき、徐々に黒崎の失踪と水島の周囲に起る異変が陣治の手によるものではないかと疑い始める…。

 

自堕落で男に溺れるバカな女やらせたら本当にうまいな蒼井優!(褒めてる)しかも「しょうがないよな・・・なんかほっとけない感じだもんな」と思わせてしまう。この十和子という女性、小説読んだだけだったら、「うわ~無理」というタイプだと思うだけに、すごいぞ蒼井優。

自分の仕事場周辺で、女を落とす小道具も、口説くセリフも仕入れてしまう軽くて薄っぺらな水島を、松坂桃李が好演。

阿部サダオは、冴えない中年男をリアルに見せるんだけれど、時折見せる何考えているかわからないときの底知れなさとかは流石だなと思う。

原作では、もっとプライド高くて、周りをバカにしているような居丈高な男だったらしいけれど、映画の中では、ひたすらに十和子を思い続ける一途な男として描かれていた。

 

結局、登場人物の誰も救われない、しかも登場人物の誰にも共感できない…。そういう意味では面白い映画。