ツインソウルを知らなかった頃に、
偶然にも書き留めていた記録があります。
その人のことを文章で書き残しておきたい。
書き残しておかなければ後悔する。
その思いだけで書き留めた記録です。
その人の言葉を全部覚えてしまうために、
会話は会話文で書き、
ちょっと変わった、小説のような記録が出来ていきました。
ブログ記事はその記録が基になっています。
当時の記録より
2004年11月17日 水曜日。
この前の日曜日に午前と午後に分かれて2つの級の検定試験を受けた。Tに早く報告したかった。今日は受験後初めての出勤日。雑用係の控室に戻る途中、階段下まで来たとき、階段を下りて来るTと顔が合った。急に視界に入る位置で不意に出会い、二人共声が出ない。顔を見合わせた途端、Tも私も声が出なくなり、無言で立ち止まり、一瞬だが目を見つめた。Tは挨拶をしないでそのまま通り過ぎようとした。私は焦ってTを追いかけた。そのせいで早口になった。
「あの、試験のことだけど、日曜日に終えて、あとで(課へ)行きます」
二人共声が出ないなんて、こんなこと初めてだ。Tは何かよそよそしい。私を避けている? しばらくしてもう一度、廊下で出会い、私はTを呼び止めた。Tは私の方へは振り向かないで、顔を背けたまま私に試験のことについて質問してきた。私は早口で試験の内容と、受験当日の出来事を話し始めた。廊下を歩きながら話したが、Tが歩く速度を緩めない。課の前まで来て、やっと立ち止まった。そこで続きを話した。Tは急ぐ用でもあるのかしら? そう思えるほど急いでいた。
そして、今日も言いたいことは言えないまま一日が過ぎていく。どうしたのだろう? Tの態度が変わった理由がわからない。(*)
Tの視線を浴びた日、あの日は雑用係の仕事を終えた後、美容の仕事をしなければならなかった。引継ぎを終えていない顧客に化粧品を届けなければならなかった。自宅から車で40分、車を降りて顧客の家まで歩いていると不思議な感覚に陥った。私の身体の首から下が私ではない。Tが入りこんでいる。私の中に入り込んだTと一緒に歩いている。
やっぱり、あの視線は普通じゃない。あのときのTは、私に見つめ返されても気がつかなかったのだから。
2004年11月18日 木曜日。
昨日から連続で出勤。Tの態度が変わったことが気になり、2階の会議室へ向かうTを呼び止めてしまった。Tは階段を上りかけて止まると、
「何? 何ですか? 」
「いろんなことを言ってしまったけど、先生、気にしていないですよね? 」
「何が? ああ、全然! 」
Tは何も気にしていない様子。もちろん仕事中だからこんなことに構っているヒマなど無い。でも今のTを見ていると、私は自分の感覚に自信が無くなりそうになる。この後Tは2階の課で長時間、何かの打ち合わせをしていた。
2004年11月21日 日曜日。
心も身体も限界だ。このままではいられない。嫌われてもいい。手紙を書くことにした。話す機会は来ないのだ。そしてもう待てない。私は辛かったのにTはひどい。心の中を詮索されてズタズタにされて、Tに訴えたかった。
『文字にすると暗い感じになってしまうので、重々しく受け止めないで軽いノリで、このメモを読んでください…………』
覚悟して書いた手紙だが、それでも書けないことがあった。ひどい、とか、嫌いになりそう、とか、そして目で私を詮索したでしょ、とは、とてもじゃないが書けなかった。あんなに深く見つめて、それを何も無いだなんて!
2004年11月22日 月曜日。
出勤してきたばかりのTに手紙を渡すことにした。B5のレポート用紙2枚に、大きめの文字で書き、それを二つ折りにした。私はツイていた。周囲に気づかれないように便箋を使わなかったのだ。どこから見ても手紙だと気づかれない。二つ折りしただけで、封筒に入れていないのだから。
Tのデスクの側で、Tはバイクの荷物を片づけるため少し屈んでいた。私が傍へ行くと、なんと所長が出勤していたのだ。これにはびっくり。まずい、所長の目の前で、この手紙をどうやって渡そうか、考えてる時間が無いと思った私は、咄嗟に妙案が浮かび、
「CDの感想です」
と言って、二つ折りの紙を後ろからサッとTの方へ差し出した。
「えっ? ああ、はい」
屈んでいたTは振り返ることが出来ず、手だけ後ろに伸ばして、条件反射的に受け取った。
このあと、Tとは一度も顔を合わせることはなかった。この手紙をTはいつ目にするのだろう?
あのパーティーから3週間が過ぎた。
* 態度を変えた理由がわからない: このときはわからなかったが、この記録を何度も読み返してみてわかった。私が問い詰めてから数日の間にTは気がついたのだ。全く無意識にやっていたことだから、最初は私に訊かれても思い出せなかった。それが、この数日の間に思い出せた。そしてそのときの自分の思いに気づいた。気づいたから私と距離を置くようになったのだ。
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当時の記録&電子書籍「気になる人はツインソウル 上下」より
