全譯『大方広佛華嚴經』巻下(江部鴨村 訳,昭和10年)
634〜635頁
文殊師利菩薩はこのように善財童子を観察しおわって、安慰し、開喩して一切の仏法を演説したもう。すなわちあらゆる仏の積集の法を説き、あらゆる仏の相続の法を説き、あらゆる仏の次第の法を説き、あらゆる仏の眷属の浄法を説き、あらゆる仏の法輪の化導を説き、あらゆる仏の色身相好の法を説き、あらゆる仏の法身成就の法を説き、あらゆる仏の言辞弁才の法を説き、あらゆる仏の光明照耀の法を説き、あらゆる仏の平等無二の法を説きたもうた。
文殊師利童子は善財童子及びもろもろの大衆のために如上の法を説きおわり、ねんごろに勧諭して信解のちからを増長せしめ、歓喜して菩提を求める心をおこさしめ、また過去の善根を憶念(おくねん)せしめたもうた。かようにして其処でまた衆生のために随宜(ずいぎ)に説法し、然(しか)るのちに去って南方に遊行したもうた。
(旧字体、旧仮名遣いは改めました)