全譯『大方広佛華嚴經』巻下(江部鴨村 訳,昭和10年)
455頁
仏子よ、菩薩大士に十種の足がある。
十種とは何んであるか?
一には持戒の足である。あらゆる大願を積集し成満するから。
二には精進の足である。あらゆる菩提分の法を集めて退転しないから。
三には神通の足である。衆生の楽欲にしたがって歓喜せしめるから。
四には神力の足である。一の佛国土を離れないで一切の仏国土に趣くから。
五には深心の足である。あらゆる殊勝の法を願求するから。
六には堅誓の足である。あらゆる所作をことごとく究竟(くきょう)するから。
七には随順の足である。あらゆる尊者(そんじゃ)のおしえに背かないから。
八には楽法(ぎょうほう)の足である。あらゆる仏の所説のおしえを聞持して疲懈(ひかい)しないから。
九には法雨の足である。衆のために演説して怯(お)じ畏れないから。
十には修行の足である。一切もろもろの悪を遠離するから。
仏子よ、これが菩薩大士の十種の足である。
もし菩薩大士がこの法に安住するならば、すなわち如来の無上最勝の足をえて、一たび足を挙ぐればあまねく一切の世界に至るだろう。
(旧字体、旧仮名遣いは改めました)