譯『大方広佛華嚴經』巻下(江部鴨村 訳,昭和10年) 

373頁

仏子よ、菩薩大士に十種の法の分別がある。十種とは何んであるか?
一に一切の法はことごとく縁より起ると分別する。
二に一切の法は皆ことごとく幻のごとしと分別する。
三に一切の法は皆ことごとく無諍であると分別する。
四に一切の法は無量・無辺であると分別する。
五に一切の法は依止する所がないと分別する。
六に一切の法はことごとく金剛のようであると分別する。
七に一切の法は皆ことごとく如来であると分別する。
八に一切の法は皆ことごとく寂静であると分別する。
九に一切の法は皆ことごとく正道であると分別する。
十に一切の法は皆ことごとく一相・一義であると分別する。
仏子よ、これが菩薩大士の十種の法の分別である。もし菩薩大士がこの法に安住するならば、すなわち巧みな方便をえて、よくことごとく一切諸法を分別するだろう。

(旧字体、旧仮名遣いは改めました)