譯『大方広佛華嚴經』巻下(江部鴨村 訳,昭和10年) 

307〜308頁

 仏子よ、それゆえにこの経を聞く菩薩大士は、歓喜し、恭敬し、頂戴し、受持すべきである。なぜなら、菩薩大士にしてこの経を信楽し、すこしく方便を行ずるならば、かならず決定して無上菩提をうるであろうから。
 仏子よ、菩薩大士が無量億那由他劫に六波羅蜜をおさめ、道品の善根を修習するとしても、未だこの経を聞かず、聞くといえども信じ、受持し、随順しないならば、それは仮の菩薩であって真の菩薩とは云われない。なぜなら、如来の種姓(すじょう)の家から生れないから。

(旧字体、旧仮名遣いは改めました)