譯『大方広佛華嚴經』巻下(江部鴨村 訳,昭和10年) 

275〜276頁


かの雪山のいただきに、無尽根と名づける大薬王樹がある。この薬王樹の生長の因縁にしたがって、ことごとく閻浮提の一切もろもろの樹木が生長する。

その樹が根を生ずるときに、あらゆる樹木の根が生ずる。茎・枝・葉・花・実もまた同様である。
清浄甚深の智もまた此のごとく、如来性のうちより生ずる。如来の智慧によって、修行の智慧が出生する。
あらゆる菩薩の行と、量りなきもろもろの功徳とは、如来の智慧の樹王——平等の心地から生ずる。

(旧字体、旧仮名遣いは改めました)