全譯『大方広佛華嚴經』巻下(江部鴨村 訳,昭和10年)
6〜8頁
仏子よ、第六に菩薩大士は無畏の神力智明に安住して、自由自在の無作(むさ)の神力・平等の神力・広大の神力・無量の神力・無作の神力・念(おもい)に応じて至る神力・動転しない神力・退転しない神力・尽きない力・壊られない神力・生長する神力・行為にしたがう神力をうる。而してもし十方の無量無数の世界・無辺の世界・無分斉の世界・数(かぞ)うべからざる世界・思議すべからざる世界・量るべからざる世界・乃至、不可説不可説の仏国土微塵数のあらる世界の、現在の諸仏のみ名を聞くならば、かの諸仏のみもとに悉(ことごと)くおもむいて、恭敬し、礼拝し、讃歎し、供養しまつり、深く如来のきよらかなみ国の種々の荘厳と、種々の功徳とを知って、無量の功徳をことごとく充満し、無量の自在、無量の境界を示現して、あらゆる如来を讃歎し、恭敬し、供養しまつり、その身を示現して十方一切のあらゆる仏のみもとに侍(じ)し、此(こ)を離れないでしかも彼(かしこ)にいたり、ことごとく身づから了知して諸仏のみもとに詣で、恭敬し、礼拝し、讃歎し、供養しまつり、菩薩の法を問いまっつて仏の智慧を生(う)み、もろもろの仏国の眷属の変化を見、説法の相を知り、仏国の相を知って、何ら執するところなく、あらゆる事を皆ことごとく押し究めて彼岸にいたり、神力を損(そん)じないで、速かに十方あらゆる世界に行きわたり、仏として拝まぬと云うことなく、法として聞かぬと云うことなく、衆会として知らぬと云うことなく、いまだ曾って断絶することなく正法を聴聞し、佛法を楽(ねが)いもとめて勝れた願いを成就し、普賢菩薩の無量のもろもろの行を欠けめなく習いおさめる。仏子よ、これが菩薩大士の第六の「無畏の神力に安住する智明」である。