全譯『大方広佛華嚴經』巻上(江部鴨村 訳,昭和9年)

898〜899頁


また次に菩薩摩訶薩はその善根を次のごとく回向する

「願はくばこの善根をもってあらゆる諸仏・菩薩をして皆ことごとく歓喜せしめよう。もろもろの善根をして一切智に趣かしめよう。もろもろの善根をして一切のところに遍満せしめよう。一切衆生をしてつねに諸仏を拝ましめよう」と。

また次のごとく回向する、「願わくばこの善根をもって一切衆生をして常に仏を見たてまつることを得て、心に歓喜し、清浄となり、退転することなからしめよう。願わくばこの善根をもって一切衆生をして常に仏を見たてまつることを得て、執著を生ずることなからしめよう。願わくばこの善根をもって一切衆生をして常に仏を見たてまつることを得て、無礙を了達せしめよう。願わくばこの善根をもって一切衆生をして常に仏を見たてまつることを得て、普賢の行を成就せしめよう。願わくばこの善根をもって一切衆生をして諸仏のつねに現前したもうを拝して、時として暫(しばら)くも捨つることなからしめよう。願わくばこの善根をもって一切衆生をして常に諸仏を見たてまつって、菩薩の無量の諸力を出生せしめよう。願わくばこの善根をもって一切衆生をして常に諸仏を見たてまつって、一切の法において永えに忘失せざらしめよう」と。

菩薩摩訶薩はこのように回向して法界に主なきことを知り、法界に自性無きことを知り、法界の空なることを解り、法界に所依無きことを解り、法界に虚妄なきことを解り、法界の無相なることを解り、法界の寂静なることを解り、法界に処所無きことを解り、法界の無去・無来なることを解り、法界の無壊なることを解る。


(旧字体、旧仮名遣いは改めました)