全譯『大方広佛華嚴經』巻上(江部鴨村 訳,昭和9年)
836〜837頁
菩薩摩訶薩は自身の為(た)めにする如く一切衆生のために回向(えこう)することも同様である。
「願わくば一切衆生をして永えに地獄・餓鬼・畜生・閻魔王のところを離れしめよう。
願わくば一切衆生をして悉くよくもろもろの障礙の業を除滅せしめよう。
願わくば一切衆生をしてことごとく普遍の心と平等の智慧とをえしめよう。
願わくばもろもろの怨敵をして慈心を具え、清浄の智慧を楽(ねが)わしめよう。
願わくば一切衆生をして智慧を具足して円満に実現し、あまねく一切を照さしめよう。
願わくば一切衆生をして真実智と垢れを離れた正直の菩提心とを具え、無量の智慧を満足せしめよう。
願わくば一切衆生をして平等安穏の善き世界を示現せしめよう」と。
菩薩摩訶薩はまた次のごとく回向する
「願わくば善根および一切の願を修習して、大雲雨のごとく一切衆生を皆ことごとく清浄ならしめよう。
願わくば一切衆生をして功徳の福田とならしめよう。
願わくば一切衆生をして菩提の内蔵を守護し受持せしめよう。
願わくば一切衆生をしてもろもろの障礙を離れて、無礙の清浄なる法界に安住せしめよう。
願わくば一切衆生をして無礙の諸通・智慧を満足せしめよう。
願わくば一切衆生をして自由の身をえて十方に遊行し、宜しきに応じてその身を示現せしめよう。
願わくば一切衆生をして無礙の善根と一切種智とを得しめよう。
願わくば一切衆生をして一切を摂取してことごとく清浄ならしめよう。
願わくば一切衆生をして障礙・瞋恚のこころを遠離して究竟して一切種智を成就せしめよう」と。
(旧字体、旧仮名遣いは改めました)