全譯『大方広佛華嚴經』巻上(江部鴨村 訳,昭和9年)

739〜740頁


菩薩摩訶薩が鼻を布施するとき、清浄にかくの如く回向する

「願わくばこの善根をもって一切衆生をして、如来の鼻をえしめ、善相の鼻をえしめ、愛楽の鼻をえしめ、清浄の鼻をえしめ、随順の鼻をえしめ、高好の鼻をえしめ、伏怨の鼻をえしめ、如来の鼻をえしめよう。

 願わくば一切衆生をして端正の面門をえしめ、一切法の面門をえしめ、無礙の面門をえしめ、善現の面門をえしめ、無厭の面門をえしめ、清浄の面門をえしめ、離悪の面門をえしめ、もろもろの如来の円満なる面門をえしめ、あらゆる面門をえしめ、善楽無量の面門をえしめよう」と。

 これが菩薩摩訶薩の鼻を布施する時の善根回向であって、よく一切衆生をして究竟して諸仏の法のうちに入ることを得しめ、一切衆生をして十方の諸仏の正法を摂取せしめ、一切衆生をして分別して深く諸仏の妙法をさとらしめ、一切衆生をして諸佛の法において彼岸に到ることを得しめ、一切衆生をして常に諸仏を見まつらしめ、一切衆生をしてもろもろの如来の無量の法門を得しめ、一切衆生をして究竟の清浄を得しめ、一切衆生をして仏の法明をえてあまねく諸法を照さしめ、一切衆生をして厳浄の仏国を得しめ、一切衆生をして仏の堅固にして壊るべかざらる鼻を得しめる。


(旧字体、旧仮名遣いは改めました)