本当に何十年生きてきても、「知らないこと」は尽きぬもので、今日も今日とて新しい知識を得ました。
それは、「正面摺り」なるもの!
今日は、ボランティア仲間の皆さんにお誘いいただいて、大阪浮世絵美術館へ行ってきたのです。
オバチャン四人づれ、お上りさんよろしくスマホ地図を覗き込みながら、あっちでもない、こっちでもないと、心斎橋をウロウロ。
わたしともう一人は、昔来たことがあるはずなのだけど、と言いつつ、さっぱり道がわからない💦
ようやく探し当てて三階までのぼると、息が切れました🤣。
今回鑑賞するのは、北斎と芳年です。
芳年については、歌川派ということで何となく知ったような気になっていましたが、ちゃんと見るのは今回が初めてです。
絵の細部まで楽しむようにと、スタッフさんから虫眼鏡を手渡され、ドキドキ。
こんな時こそ、単眼鏡持ってくればよかった!?
絵画を鑑賞するのに虫眼鏡を渡されたことは、未だかつて経験がありません。
確かに、ド近眼ド老眼、しかも年々夜目が効かなくなって照明が弱いと見づらくなっているわたしは、これまで色々な絵画展などに行って、眼鏡を掛け替えたり、近づいたり遠ざかったり、それでも結局細部までは分からないまま雑に鑑賞せざるを得ないことが度々ありました。
それにしても、虫眼鏡で一体何をどう見るのか…と、その効果に半信半疑のまま、いざ鑑賞に臨んだのですが…。
早速、虫眼鏡が実力を発揮します。
なんとまあ。
着物の柄、襦袢の地模様、文字のバック。
そんな細かい部分に目が釘付けになりました。
この地模様、凹凸が感じられるけど、一体どうなってるの!?
着物の柄が、角度によって浮き上がるのはどうなっているの?
「正面摺り」と書かれているけど、どういう技法?
美術館であまり騒ぎ立ててはいけないと思いながらも、疑問が口からダダ漏れの我々。
スタッフさんが来てくれて、その疑問に答えてくださいました。
(帰宅して調べると、説明されているサイトが多数ありました。
↓たとえばコチラ。)
襦袢の襟などに多用されていたのは、「空摺り」。
紗綾柄や唐草、亀甲紋様などが、ちょうどエンボス加工のような状態になっていて、へばりついて鑑賞しました。
「正面摺り」は、光に当てて角度を変えることによって紋様が見えるもので、展示されている角度では光が直接当たらず、模様がはっきりしないため、スタッフのかたが少し傾けて光に当ててくださいました。
するとまあ、見事にくっきりと浮かび上がる紋様!
作品の劣化を防ぐために、光が直接当たる角度での展示はできないとのことで、それもごもっとも。
傾けて見せていただけたので大満足です。
一緒に展示されていた国芳の絵などにも空摺りが見られましたが、北斎の絵にはそうした技巧は確認できず、こちらは彫りや摺りの技巧よりも、絵そのものの面白さが眼目なのだなと感じました。
芳年については、誘ってくださったMさんが「構図が好き」とおっしゃるように、従来の浮世絵とは違って、イラストレーターさんの挿絵や、劇画のようなドラマチックさが感じられました。
描線のタッチも、ほかの浮世絵のようななだらかな筆遣いではなく、シャープな印象です。
これまで今回のような見方をしたことが無かったので、とても楽しませていただけました。
小ぢんまりした美術館ならではの、スタッフさんの細やかな対応も嬉しく、またぜひ訪れたいと思わせてくれます。
「昔来たことが…」と言ったところ、スタッフさんによれば開館したのは2019年とのこと。
わたしが昔訪れたのは、近くにある上方浮世絵館の方だろうということになりました。
そうそう、確かにそうだった!
こちらの新しい美術館の方は、大阪に特化せず、著名な浮世絵画家の作品を扱っているのだとか。
開館した途端のコロナ禍だったそうで、ようやく軌道に乗ってきたと言ったところでしょうか。
グッズコーナーで少し買い物をしたあと、心斎橋ミツヤでお昼ご飯。
学生時分からよく行ったミツヤ、若い頃、なんばシティのミツヤ長居し過ぎて、そろそろ出てもらえないかと言われた思い出🤣。
どんだけ居座ったのやら!?
迷惑な若者でした…。
食べて喋って、一時過ぎには解散しましたが、午前中だけでものすごく有意義な時間を過ごせました!
こんな時間を度々持ちたいものです。