田山の突然の発言に驚きを隠せないのが普通なのだろう。
見学からずっと一緒に頑張ってきた仲間が部を去ることを止めるのが一般の考え方かもしれない。
でも俺は多少驚いたものの、
田山を一切止めようとはしなかった。
田山から本音をすべて聞いたわけではないが、
何となく田山の心境がその当時の俺なりに解っていたのだ。
そう、
田山は嘘をついていたのだ。
後から判ることであるが、
田山の兄が有段者でそこそこ強かったのは事実だった。
しかし、
田山自身が有段者であることは恐らく嘘であろう。
田山と手合わせた人間が一番そのことを理解できる。
事実、
田山と手合わせた先輩全員が田山の実力を疑っていた。
そう、
田山は自分の嘘がバレることを恐れたのだ。
まぁ本人と深く話していないため、
実際のところはどうか明らかではないが。
少なくとも、
田山は自分のプライドを守るために部を去ったのだ。
小さな小さなプライドの為に。
そしてこのときの俺自身にも、
小さな部分があった。
ライバルが1人減ったことに対し、
喜んでいる小さな自分がいたのだ。
田山のプライドを配慮したのと同時に、
ライバルが減ればいいとも思っていた」。
だから田山を止めなかったのかもしれない。
思えばこの時期からもう一人の自分の存在を感じていた。
田山は俺に辞めることを告げたその日から部活に来なくなった。
顧問の松先生のもとにもその話が届いていたそうだ。
だが、
主将の堤下さんには田山は挨拶に行かなかったらしい。
ただ堤下さんは気にも留めていなかったが。
そして田山が部を辞めてから一週間の間にいろんなことが起きた。
三年生が引退して二年生がメインとなり、
主将が三年の堤下さんから二年の大塚さんになった。
俺自身も田山がいなくなってから、
他の同期の一年生とよく絡むようになった。
というのも、
田山がいたころは田山が隣りでずっと俺だけに話をしてくる状態だったので、
他の一年生となかなか話をすることが出来なかったのだ。
自分で言うのもなんだが、
もともと明るくてお調子者だった俺はすぐに全員と仲良くなった。
同じ公立高校の受験に失敗した中花、
超イケ面俳優顔の竹村、
B’zの稲葉浩志と同性同名の稲葉、
勉強の出来るイケ面不良の松木、
ゲジマユの松下、
変なメガネの津波、
津波と二個一の上川、
マーベルヒーローズの緑の巨人のハルク小型版の福道、
ひょっとこ顔の大きな図体の矢野、
中学から一貫のエスカレーターで上がってきたえなりかずき似の東路、
細くて白い松野、
父親が日拳のお偉いさんの六カ年の松下、
他にも20人近くの一年生がいたが、
夏休みの合宿でほとんどが辞めてしまうという未来が待っていたことを一年生は誰も予想出来なかっただろう。
このころ、
俺は自分のクラス内においても友達と担任や他の教師のものまねをしたり、
毎日ハイテンションでクラスを盛り上げ、
下ネタやゲームの話やクラスメート同士のウケの狙い合いなどで毎日騒いでいた。
生活指導課から目を付けられるぐらい。
また他のクラスやコースの同級生たちとも同じような接し方をしていたため、
友達も爆発的に増えたし多かった。
女子がいない分、
トラブルが無いため誰でも仲良しになることが男子校では多いのだ。
そう、
男同士が揉めるときにはほとんどの場合女性が絡んでいる。
いつの時代も男は単純なのだ。
そんな俺の状況に部活は更に拍車をかけた。
もちろん練習は怪我するし厳しかったが、
先輩や同級生との絡みがおもしろかったので練習には毎回参加した。
正直楽しい高校生活だった。
毎日が充実していた。
清嵐に来てよかったと思い始めていた。
そんな中、
五月の頭の週のとある練習の日のことだった。
いつものように床がコンクリートの練習場で着替えていたら、
後ろからいきなり声をかけられた。
「なぁ、ゴミくずの堤下おる?」
振り返ると、
全く知らないファンキーな人が立っていた。
つづく。
見学からずっと一緒に頑張ってきた仲間が部を去ることを止めるのが一般の考え方かもしれない。
でも俺は多少驚いたものの、
田山を一切止めようとはしなかった。
田山から本音をすべて聞いたわけではないが、
何となく田山の心境がその当時の俺なりに解っていたのだ。
そう、
田山は嘘をついていたのだ。
後から判ることであるが、
田山の兄が有段者でそこそこ強かったのは事実だった。
しかし、
田山自身が有段者であることは恐らく嘘であろう。
田山と手合わせた人間が一番そのことを理解できる。
事実、
田山と手合わせた先輩全員が田山の実力を疑っていた。
そう、
田山は自分の嘘がバレることを恐れたのだ。
まぁ本人と深く話していないため、
実際のところはどうか明らかではないが。
少なくとも、
田山は自分のプライドを守るために部を去ったのだ。
小さな小さなプライドの為に。
そしてこのときの俺自身にも、
小さな部分があった。
ライバルが1人減ったことに対し、
喜んでいる小さな自分がいたのだ。
田山のプライドを配慮したのと同時に、
ライバルが減ればいいとも思っていた」。
だから田山を止めなかったのかもしれない。
思えばこの時期からもう一人の自分の存在を感じていた。
田山は俺に辞めることを告げたその日から部活に来なくなった。
顧問の松先生のもとにもその話が届いていたそうだ。
だが、
主将の堤下さんには田山は挨拶に行かなかったらしい。
ただ堤下さんは気にも留めていなかったが。
そして田山が部を辞めてから一週間の間にいろんなことが起きた。
三年生が引退して二年生がメインとなり、
主将が三年の堤下さんから二年の大塚さんになった。
俺自身も田山がいなくなってから、
他の同期の一年生とよく絡むようになった。
というのも、
田山がいたころは田山が隣りでずっと俺だけに話をしてくる状態だったので、
他の一年生となかなか話をすることが出来なかったのだ。
自分で言うのもなんだが、
もともと明るくてお調子者だった俺はすぐに全員と仲良くなった。
同じ公立高校の受験に失敗した中花、
超イケ面俳優顔の竹村、
B’zの稲葉浩志と同性同名の稲葉、
勉強の出来るイケ面不良の松木、
ゲジマユの松下、
変なメガネの津波、
津波と二個一の上川、
マーベルヒーローズの緑の巨人のハルク小型版の福道、
ひょっとこ顔の大きな図体の矢野、
中学から一貫のエスカレーターで上がってきたえなりかずき似の東路、
細くて白い松野、
父親が日拳のお偉いさんの六カ年の松下、
他にも20人近くの一年生がいたが、
夏休みの合宿でほとんどが辞めてしまうという未来が待っていたことを一年生は誰も予想出来なかっただろう。
このころ、
俺は自分のクラス内においても友達と担任や他の教師のものまねをしたり、
毎日ハイテンションでクラスを盛り上げ、
下ネタやゲームの話やクラスメート同士のウケの狙い合いなどで毎日騒いでいた。
生活指導課から目を付けられるぐらい。
また他のクラスやコースの同級生たちとも同じような接し方をしていたため、
友達も爆発的に増えたし多かった。
女子がいない分、
トラブルが無いため誰でも仲良しになることが男子校では多いのだ。
そう、
男同士が揉めるときにはほとんどの場合女性が絡んでいる。
いつの時代も男は単純なのだ。
そんな俺の状況に部活は更に拍車をかけた。
もちろん練習は怪我するし厳しかったが、
先輩や同級生との絡みがおもしろかったので練習には毎回参加した。
正直楽しい高校生活だった。
毎日が充実していた。
清嵐に来てよかったと思い始めていた。
そんな中、
五月の頭の週のとある練習の日のことだった。
いつものように床がコンクリートの練習場で着替えていたら、
後ろからいきなり声をかけられた。
「なぁ、ゴミくずの堤下おる?」
振り返ると、
全く知らないファンキーな人が立っていた。
つづく。