特に、呪術廻戦 コスプレ衣装装着の状態では薄めのメイクだと顔が負けて不自然になってしまうので、つけまつげと囲み目のアイライン、眉毛を剃って、もしくは塗りつぶしてペンシルで描いていくのが標準装備になっていきます(エンジ色のザ○ト軍服を着ながら……)。手の届かない二次元という存在だからこそ、それをどう三次元で再解釈して近づくか? そこにコスプレの永遠のテーマがあります。ここまでコスプレメイクの歴史をザッと駆け足で振り返ってみましたが、基本的にコスプレメイクって、女子の「かわいい文化」としてのメイクとはかなり異なるんです。そして、この技法の再現としてSNSなどで話題となったのが、まさにKATEのダブルラインエキスパート。
00年代はまさにネットの時代でした。デジカメで撮って、Cure(かつてライブドアが運営していたコスプレSNS、当初は個人サイトとして2001年サービス開始)に写真をアップ。イベント参加だけでなく、ネットを介することでより多くの人に自身のコスプレ写真を公開することができるとなっていきます。コスプレメイクもより本格化が進み、アニメっぽいハイライトやシェーディングの入れ方、また、テーピングによって輪郭や目の形自体を変える技法が生み出され、それらがネットを介して広まっていきます。これらは、デジタル一眼レフの普及と合わせて、スタジオやロケ撮影を駆使した、より本格的でアート志向の強い「作品」としてのコスプレ写真(雰囲気写真とも言われる)を生む潮流となっていきます。しかし、ことKATEに限っては、コスプレメイクの世界で高い人気を誇るジャンルが一つあります。また、二次元キャラはよく目尻だけ長いまつげがデザインされてたりするので、これを三次元で表現するにはつけまつげではなく、やっぱりまぶたにまつげを直接描く、のです。
00年代後半には再びリーマン・ショックによる不況に突入しますが、この時、企業が広告費を削減したせいで空いてしまったプロ用撮影スタジオで個人向けの貸し出しが広まったり、テナントの空いた雑居ビルを改装したコスプレ撮影スタジオの開業をしたりする事象も相次ぎました。さて、そんなコスプレメイクの世界におけるKATEって、かなりの巨大勢力だったりします。コスプレにおいてはポーチ内のブランドを統一するというよりかは、なりたいキャラクターになる「目的」に沿って使い分ける人が多いので、厳密なNo.1やシェア割合は決めようがありません。
しかし、あなどるなかれ。例えば二重が欲しい時、通常の女子メイクではアイプチやアイテープが使用されますが、コスプレメイクではまぶたの上に“もう一本の線を描く”のです。自身をかわいく見せるよりも、液晶の中のキャラに近づきたい願望の「具現化」なので、フィギュア職人の造形や塗装の感覚に近いと思います。言うなれば「セルフ改造手術」でしょうか。男子ウケ前提のナチュラルメイクなんてどこ吹く風、明度&彩度の高さに振り切って強さを表現するKATEのスタイルが、コスプレイヤーのハートを、撃ち抜いてきたのでした。これはダブルラインとも呼ばれる技法ですが、通常メイクで使用されるのとはハッキリクッキリ、質量が違います。こうした方が遠目に見たり写真を通したりした時、二次元キャラの目元に近くなるからです。
- 前ページ
- 次ページ