アメリカ映画などで、よく個人の思い出の写真や切手、過去の手紙などをデザイン的に貼り付けるアートジャーナルと呼ばれる物が登場します。

 

 

イギリスやアメリカのブログなどでは、自分のアートジャーナルの作り方の為のブログや説明も多く見られます。

 

 

 

そして、このアートジャーナルに、ポップアップ的要素を加えて遊び心を追加しているものもあります。

 

 

アートジャーナルは、自分史という側面が強いが、ポップアップ絵本は、元々は教育的側面が強く見る者に社会のルールなどを学ばせる役割がありました。

世界で最初に「しかけ絵本」が登場したのは、1306年だとされています。この本は円形で動かすことができる羊皮紙製の手書きの占星術の本でした。そして、子ども向けの「しかけ絵本」の出版が始まったのは18世紀以降です。1765年にはロンドンの書肆ロバート・セイヤーが道化絵本を出版し、これが「しかけ絵本」の始まりとされています。

アメリカでは、第二次世界大戦中からその直後に「ポップ・アップ」という言葉が生まれました。挿絵画家のジュリアン・ウェアは「オズの魔法使い」や「ふしぎの国のアリス」、「長靴をはいた猫」などの物語を「しかけ絵本」に仕立てました。この「ポップ・アップ」は、本のページを開くと自然に絵が立ち上がるようにしたものを指します。

「飛び出す絵本」は、本を開くと幾何的な折り畳み構造物と、これに描かれた絵が飛び出すようになっている絵本のことです。アメリカの出版社ブルーリボン社が1932年に「ポップ・アップ」という言葉を使い、本のページを開くとイラストが飛び出してくる様子を表現しました。このような「飛び出す絵本」は、開く・つまみを引く・穴あきなどのさまざまなしかけを持っています。

 

アートジャーナルとポップアップ絵本は、歴史の長さこそ違いはあれ、共に創造的な方向性を志向し、アートジャーナルの領域にポップアップ絵本の発想が入り込みつつあります。

 

ポップアップ絵本の最近の作例としては、紙の魔術師ロバート・サブダによる1999年のポップアップしかけ絵本である「The Movable Mother Goose」があります。。この美しい絵本は、古くから伝わるマザーグースの世界に新しい息吹を吹き込んでいます。色の使い方とデザインはセンスが光り、子どもだけでなく大人も楽しめる作品です。

 

 

この様にメインの仕掛け以外にも周囲に小さな扉をつくり、その中身を動かしたり、メッセージを開示したりしてます。

 

 

さらに、より芸術的な表現に挑戦しているのが、David Pelham の『Trail』です。

これは単なる本という領域では無く、芸術作品と呼べる創作物であります。

この本は、銀色の道を辿る冒険を描いたポップアップブックです。この驚くべき本は、美しいポップアップ風景が静かから神秘的、そして魔法のように広がる迷宮を通じて読者を魅了します。小さなカタツムリの一日を追体験しながら、森の底から日没時の池まで旅をします。詩的な表現と美しいポップアップが、静かで神秘的な雰囲気を作り出しています. この本は、David Pelham によって創造され、多くの賞を受賞したデザイナーの輝かしい作品です。