
遅くなりましたが、5月4日は熊取小垣内から始まり、貝塚三ツ松と渡り、この日に入魂式が行われた最後に拝見した和泉市寺門町の新調地車をご紹介させて頂きます。 この日、3軒目となる入魂式という事で、残念ながら曳行シーンは見られず仕舞いでしたが、何とか新調地車は拝む事が出来ました。 大工はこの地車が、出世作品となる「泉谷工務店」彫り師は、筒井一門オンパレードの「筒井伸師」「山本仲伸師」「岸田恭司師」「近藤晃師」「片山晃師」「高濱輝夫師」「前田明彦師」という豪華な顔ぶれの作品です。 泉谷師の出世作という事もあり、いろんな部分で、斬新な細工がなされていました。 では、早速ご覧ください。

▲まずは、正面よりの姿見と平の主屋根廻りですが、主屋根は、最近見掛ける入母屋型軒唐破風という私好みの屋形です。そして、いきなり腰周り正面が三段という最近では無い細工に「え~~!」と驚かされました。前梃子には、町内に三輪明神に纏わる場所があるらしくお札が張っていました。

▲後ろから見る軒唐破風の美しいシルエット。後屋根懸魚のこれまた龍神を意味するのでしょうか?そして、リバーシブルになっている大神神社の紋でもある三つ鱗紋が新鮮でした!!

▲美しいフォルムですよね~

▲木鼻をはじめ、隅出すも唐獅子が入っていました。開さんも結構あったオーソドックスなこの唐獅子も良いですね~

▲そして、主屋根廻りですが、懸魚は定番の波濤に旭日。枡合は、正面「天乃岩戸」左「神武東征」右「大蛇退治」で、平は二重枡合になっており、上部の彫り物は、左「投剣の場」右「笙の伝授」になってました。

▲そして、これも驚くべき細工で、主屋根背面の枡合は正面と同じく「天乃岩戸」なんですが、後ろから見ると天照大神が後ろを向いており、「ん~~??」と思ってたら、一緒に見ていたブログ仲間の「Mなりくん」が、「地車の中、見てください」と言われ、中を覗いてみると「お~背面枡合部分に穴が開いて、天照さんがこっち向いてる~」と叫んでしまいました!

▲続いて、後屋根ですが、枡合正面「鶴岡八幡宮」左「五条大橋」右「那須与一」となっています。那須与一も珍しいですが、正面「鶴岡」の意匠なんですが、頼朝公のこんな感じは、見た事のないものですね~虹梁には、「茨木童子片腕奪還」の良い彫り物も入っていました。

▲松良は、左右とも「一ノ谷」鵯越の逆落としの名場面です。正面から見ると両方から迫ってきそうな感じに見えます!

▲ここも地元題材でしょうか。摺り出し鼻の「牛神祭り」と「地祭り」です。受けと鼻は、題材が分かれているんですね。この辺り、もう少しじっくり見たかったんですが。。また、見送り虹梁には、「大江山木渡り」でした。

▲竹の節も「仁王の鬼退治 阿吽」という斬新な題材がありました。仁王さんは、在ったような気がしますが、鬼退治は初めてではないでしょうか??

▲後姿。

▲そして、これも厳つい町名持ちでした。「善女竜王」。。この竜王さん、高野山の霊宝館で掛け軸やったかな~?は、見た事あるんですが、それ以外で見た事は一度もありませんでした。その昔、この地が天気に左右される農業に密接に関わっていた事が、この彫り物をみても理解できますね~

▲そしてそして、先ほども触れました、腰周りの正面ですが、三段仕上げという斬新さがここにも見られます!正面縁葛「将門ノ乱」連子「鶴岡八幡宮静御前乃舞」土呂幕「朝比奈三郎の錣引」(山本仲伸師作)です。山本仲伸師の精巧かつ勢いのある縁葛を大きく採った作品に圧倒されます。

▲この斬新な縁葛には、岸和田旧市中之濱町正面土呂幕で有名な将門が採用されています!上の将門が「動」とくれば、連子には「静」の【源平盛衰記】より「静御前乃舞」が光りますね~

▲そして、土呂幕は、山本師の躍動感溢れる「朝比奈三郎の錣引」です。真向きの馬の二頭立てという山本師の飽くなき挑戦魂を感じる名作ですね!

▲墨書きの「仲伸作」が光りますね~

▲続いては、右平ですが、【太閤記】より縁葛「小六ノ出会」大連子「加藤清正、九州征伐」小連子「醍醐の花見」土呂幕「佐久間乃乱入」(片山晃師作)です。

▲平は、通常の腰周り四段というスタンダードなものになっています。しかし、彫り物は、大連子のお馴染み「加藤清正」をはじめ小連子の個人的に好きな「醍醐の花見」など正面にもありましたが、上から「静」「動」「静」「動」のメリハリの利いた並びになっています。また、「加藤清正」もお馴染みながら、ちょっとずつ目新しい部分もあり、よく考えられた作品やな~と感じました。

▲土呂幕は、流れを汲む【あわじ彫】舜さんの名作である岸和田旧市「大手町」土呂幕正面の佐久間を見本にしたであろう鬼神に勝る佐久間盛政に見入ってしまいました!

▲ほんと、良く彫れてたと感じました。

▲この陣幕から覗く雑兵も淡路を感じますね!

▲そして、腰周り最後は左平で、【信長公記】より縁葛「信長、道三との対面」大連子「桶狭間」小連子「お市乃輿入れ」土呂幕「本能寺乃変」(岸田恭司師作)です。

▲こちら左平は、【信長公記】からですが、小連子の「お市乃輿入れ」は、初めて見た題材ですね~

▲土呂幕は、名匠「岸田恭司」師の十八番である「本能寺乃変」が空中戦を繰り広げております!「よっ!岸っさん!!」

▲そして、見送り下の腰周りも見応えがあり、【太平記】から連子左「楠木正季、直義を討ち逃す」右「桜井駅の別れ」半松良「千剣破城の戦い」の豪華な名場面です!

▲最後になりましたが、見送りは「川中島合戦」の名場面ばかりです。この時は、近くに寄って見れなかったんで、奥までは見難いですが、センターに両雄を抱え、川中島の大パノラマが広がっていました!
いかがでしたか? 泉谷師の斬新な出世作に、岸田師をはじめとする【筒井一門】当代の若手彫り師の競演が見事に合体し、また名作が和泉の地に舞い降りたという感じですよね!! 特に、見る者を惹きつける腰周り正面の三段がどど~んと前面に出て一目で「寺門や~」と分かる斬新な細工に脱帽でした! 本当は、曳行シーンも見たかったのですが、またの機会に地車ともどもじっくり拝見したいと思います! 寺門町関係者の皆様におかれましては、新調まことにおめでとうございました! この地区の宝をいつまでも大事に曳行できます事をお祈りしております。 ありがとうございました!!
