金曜夜9時。
学校のパブから叫び声がきこえてくる時間帯です(゜д゜;) 笑
もうこの時期になると、コースを終えて帰国する学生も多かったりして、図書館も人気がありません。
この静けさ&24時間開館はありがたいですね!!ニコ ぅゎーぃ 


さて、前々回に引き続き、ウガンダの初等教育のお話です地球

国際協力による教育普及の歴史は「すべて人は教育を受ける権利を有する」と謳った1948年の国連「世界人権宣言」にまでさかのぼります。

近年では、1990年にタイ・ジョムティエンで行われた「万人のための教育世界会議(Education for All)」
2000年にセネガル・ダカールで行われた「世界教育フォーラム」によって
特に初等教育の普及(UPE=Universal Primary Education)に力点が置かれてきました。


2015年までの開発目標として定められている「ミレニアム開発目標(MDGs)」でも
ポイント UPE(2015年までに、世界中のすべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする)
ポイント女性にとってのUPE(2005年までに初等・中等教育における男女の格差を解消し、2015年までにすべての教育レベルにおける男女格差を解消する)
が目標として掲げられています゚・*:。.:・゚゚・*:。.:*゚
http://www.undp.or.jp/mdgsafrica/


そんな中で、ウガンダでは1997年より
「子どもたちが無料で教育を受けられる機会をつくろう」という取り組み(初等教育無償化=FPE)が実施され、政府の教育に関する公的支出、特に初等教育への支出が増やされました。
このFPEのおかげで、学校に就学する子どもの数が劇的に増えたのは前回のVol.4で触れた通りです。「就学率を上げる」という意味では、この政策は大成功でした 
 
しかし、いままで学校に通ったことがない多くの生徒が一気に学校に登録することで、現場の学校ではどんな事態が生じるでしょうか・・・?
前回の「アクセス」の問題に次いで、今回のテーマは「質」の問題です。


2.Quality Education ~良質な教育への道~

マルキラ☆入学生が激増した結果、学校現場の反応は?






マルキラ☆中等学校進学への道は険しい・・・

ウガンダの教育システムを図にするとこんな感じです


 

試験がたくさん!!
というのがひとつの特徴ではないでしょうかテスト
子ども達は、学年末にある試験にパスしないと進級できない、また各学校修了時の国家試験の成績によって、次に進む学校が決められていくシステムです。

この試験・あるいはカリキュラムの内容についてJICAの専門家の方にお話をお聞きしたところ、どうやら小中学生には不適切(難しい、日常生活にそぐわない)な内容も含まれていることが問題視されているようです。

私も英語・算数の小4のテキストを見ましたが、たとえば英語でFranceとかRussianとかJapaneseとかひたすら国名と国民の英語での呼び方が羅列してあるような単元や、ローマ数字の数え方(IとかIVとか。私はさっぱりわかりません!)の単元等があり、少し知識偏重型だな・・・という印象を受けました。

協力隊で先生として活躍している友人が教えてくれたことですが、こちらでは
たくさん
知識を持っていること=良いこと」
という認識があるようです本


こうして、難しい学習内容にも負けず頑張って勉強した生徒の初等学校修了時の認定試験(PLE)の合格率は、約8割その中で中等学校に進学する生徒は5割~とのこと合格


それでは
Q.もし初等学校に100名の子どもたちが入学してきた場合、7年後、何人が中等学校に進めるのでしょうか・・・?

概算すると・・・
入学生100名×残存率50%=初等学校修了時点で50人
50人×PLE合格率80%×中等学校進学率50%=20人


中学校に進学できるのは、100人中たった約20人ということになります


マルキラ☆学習の質を妨げる「チョークとトーク」

教育で非常に有名なフィンランドをはじめとする北欧諸国は、子どもたちの自立性や想像力を伸ばす指導が活発に行われています。
では、ウガンダの教室では、どんな指導が行われているのでしょうか?

 

生徒はたいへんおとなしく、素直で従順なんですが、いちばんびっくりしたのが「ペアワークができない」ということです。

「自由に話し合って考えていいよニコ  」といっても、子ども達は照れくさそうに笑ってじっとして、まるで先生の指示を待っているかのようになかなか動きません。
たぶん、あまり今までペアワークや発言をしたことがないため やり方がわからないというところも当然あるのでしょうが、先生に話を聞いた限りでは「先生の言うことをしっかり静かに聞くこと=良いこと」と思われているようでした。

たしかに、授業中寝る生徒はほとんどいません。みんな、ゆっくりながらもしっかりと真面目に板書を写して頑張っています鉛筆
しかし、ここまで生徒のアウトプットが限られてしまっている場合、生徒が本当に集中して授業に集中しているかどうか、どうやって見極められるのでしょうか・・・?

教室ではよく「5+5=10!10!10!10!」と、答えをひたすら何度も大声で復唱させる指導に出くわしました。
この指導に、考えるためのプロセスの説明は見られません。生徒一人ひとりが本当に理解しているかどうか、どうやって測れるのでしょうか・・・?


子どもたちにとって、「このようなインプット中心の授業を経て、かつ適切なフィードバックもあまりないまま学年末試験・修了試験を迎えるのはなかなか厳しいだろうな・・・」と思うと同時に
子どもの自由な想像・発想・行動力を奪ってしまっている昔ながらの文化と価値観に、もどかしさを感じてしまいました。

(地域特有の文化や価値観に良し悪しをつけるつもりはありません。西欧の教育文化の押し付けもあってはならないと思います。ただ、このように現地文化によって何かが阻害されてしまっている場合、現地文化とうまく融合する新しい仕組みを考える必要はあると思います)

このような教師側の一方通行の授業は「チョークとトーク」とも呼ばれています。


マルキラ☆教師のモチベーションの問題

指導方法の改善に必要なのが「教師のモチベーション向上」ですが、ここにも問題が挙げられます。

上図のように、生徒は前期中等教育後に国家試験(UCE)を受け、成績が良ければ後期中等教育に進みますが、成績が芳しくない場合に、小学校教員養成学校(Primary Teachers' College)に進みます。

言い換えると「成績が良くなかった」、「教師が第一志望ではない」、「本当は後期中等教育に進んで、大学を目指したかった・・・(´・・`) 」という生徒も、この中に含まれてしまうのです。
S4レベルの生徒へのある調査結果によると、職業として教師が人気を集めない理由には、社会的地位の低さや給料の低さetc.があるようです。

ここには公共支出の管理の問題が絡んできます。
開発途上国で、教育経常支出の多くは教員給与として使われていますが、ウガンダでは教員の2割が幽霊教員(給与を受け取りながら実際に授業をしていない)というデータがあります(UNESCO2002)おばけ

また仮にこの幽霊教員をなくしたとしても、予算の半分以上を国際援助に頼っているため、給与引き上げは現実的に難しいようです。そのような待遇への懸念と、教員減につながるその他の要因(HIV感染等 後日触れます)が作用して、教員のモチベーションダウン、教員数不足といった問題につながってしまいます。

2015年までにEducation for Allを達成するには、新規教員をあと200万人増やさないといけないといわれていますが、道のりは厳しいことがわかります。


マルキラ☆子どもたちの学習成果への影響は?

TIMSS(2003年/8年生数学)の調査結果によると、日本や欧米、アジアの国々が国際平均を上回っている一方で、中東やガーナ、南アフリカといった国々は下位に位置づけられています。
言い換えると、国際水準に達した生徒の割合は、日本の9割の子どもが国際水準以上であることに対して、ガーナでは9割が水準以下です。

SACMEQ(2000)の調査結果では、ウガンダの6年生のうち期待される読解力があるのはたった1割 で、最低限レベルに達しているのは3割程度。
つまり、初等学校を卒業する数少ない限られた生徒の中でさえ、3人に1人しか最低限の読み書きができないということになります。

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以上が、「教育の質」に関してウガンダで感じた課題です。

本来であれば、「量を増やすこと」に先立って、まず「質を向上させる仕組み」をつくることが理想的ですが、量の拡大を優先したことによって、上記のような問題が起こってしまいました。

今後UPEを達成するには
教育面では①アクセス(特に女性や貧困家庭等の社会的弱者のアクセス)を確保する ②内部効率性(残存率)を高める ③アウトプット(成果・学習到達度)を高める仕組みが必要だと感じさせられました。

また、教育セクターだけでは解決できない、ジェンダー・保健・労働経済等のセクターを越えた問題にも取り組む必要があると思います。

まだまだまったくの勉強不足ですが、早く大学院に行って勉強したいです!!(。>0<。) パンチ
最後まで読んでくださって、ありがとうございました*:..。○゚・:,。*:..○
12時なのでそろそろ帰ります。バスあるかな~((( ;°Д°))))






授業料が無料になることで、貧困家庭の経済負担が軽減され、ウガンダでは就学者数が倍増しました。その増加がダイレクトに影響した問題のひとつが教室不足です。

予算不足(校舎不足)のまま、1年生のクラスに膨大な数の生徒が詰め込まれるとなると、これは適切な学習環境ではありません。これをクラスサイズが大きい と呼ぶことにします。

インディカティブ フレームワークという指標で定められた目標は、生徒40人あたり教師1人のクラスサイズ。
しかし現状は、1年生の場合、60人~80人のクラスサイズも多いと聞くので驚きです!!

(たとえば、2003年までにウガンダの初等学校の教師数は+4万人増えたというデータがあります。それに対して2004年までの生徒数の増加は480万人。これからざっと見積もっても、教師増加+1人に対して生徒増加は+120人という計算になります)


マルキラ☆ クラスサイズが大きいと、次に何が起こるの・・・?

当然、教師の数の不足によって、指導の質が保証できなくなってしまいます。
期待と不安を小さな胸にいっぱい抱えて入学したばかりの幼い子どもを、生徒80人当たりたった1人の教師がどうやってケアできるというのでしょうか?baby
1人ひとりのつまずきに目を向けることは愚か、授業中の十分な学習指導も行き届きません。

さらに、一般的には、就学前にナーサリーと呼ばれる保育園/幼稚園に通うことが望ましいんですが、無償化によって多くの生徒がナーサリーに行かないまま初等学校に就学してしまうという事態が起こりました。
そうなると、子どもたち側が求めるケアも当然多くなる、しかし対応できる教師が足りない、教師の負担は増加する、子どもたちへのケアはおろそかになる・・・

これらの要因で、学校生活につまづいた生徒や、Vol.4で触れたような家庭の事情(貧困が原因でやめる生徒が約半数)を抱えた生徒が、十分なケアを受けられないまま学校を去ってしまう・・・という状況は想像に難くありません(´д`)

こうしてドロップアウト(中途退学)・留年の問題が生じ、学年が上がるにつれて生徒数が減っていくという現象が起こります
そして結果的に初等教育を修了できるのは、たった52%の確率、ふたりにひとりということになります。