30分のデスクワークや運転でも血液ドロドロを招く座りすぎの恐怖 | ”ミ”スターAkiraの救急救命室

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2012年初頭、“クモ膜下出血&”脳梗塞“で倒れながらも、何とか独り暮らしが出来るまでに。
この間、お世話になった病院や施設、自主トレ用に用意した用具やアイテム、「障碍者でも利用できる施設&レストラン」をDateランダムに記録した個人奮闘日記。

10/13(金) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 日本人が座りすぎ世界1位なのは前回お伝えしたとおり。第1回目で説明したように、座りすぎが糖尿病や脳梗塞、はてはガンの原因にもなっていることが判明した今日、改善が急がれる。だが、日本人の座りすぎとなる原因を探ると、そこは日本人の「働き過ぎ」ということに行きつく。仕事とはいえ、座りすぎが命の危険に直結することを自覚するためにも、座って仕事をすることの恐ろしさを認識しよう。
今回は座りすぎ研究の第一人者、岡浩一朗・早稲田大学スポーツ科学学術院教授の著書『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』から、座って仕事をすることの健康への悪影響について紹介する。

● 職場環境が糖尿病やガンの原因だった! 「血液ドロドロ」にならない働き方とは?

 デスクワークの人で、重たい荷物を持ったり歩き回ったりしたわけでもないのに、夕方になると「なんだか疲れた」「ダルい」といった倦怠感に襲われたり、不調を感じたりすることはありませんか。

 これは『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』で訴えた、病や死までも招く「座りすぎ」が原因かもしれません。この「座りすぎ」への危機感が世界的に高まる中、本当はどこよりも早く対策を講じなければならないが、前回ご紹介したように主要国との比較調査で1日の座っている長さが世界1位だった日本です。

 そもそも、なぜ日本人は世界一座りすぎるのか? 

 その原因は、生活が便利になったことに加え、もう一つ、日本人の勤勉さ、真面目さが挙げられます。そう、日本人は働きすぎで座りすぎになっている側面もあるのです。

 1日に10時間以上働くフルタイム男性雇用者の割合は、2011年の時点で43.7%ですが、このうちデスクワーカーは勤務時間の約7割を座って過ごすと言われます。10時間以上働けば、仕事だけで7時間以上じっと座り続ける可能性があるわけです。

 しかも、日本人は残業もとびきり多く、職場での残業時間は1日あたり92.3分です。なんとこれ、米国やフランスの約3倍です。もしも残業が深夜におよべば、トータルの座っている時間は17時間近くになるかもしれません。

 そうなれば、さすがに体がきつくなり、「疲れた」「なんだか体がだるい」など自覚症状があらわれ始めます。座りっぱなしでいると、足の血流がみるみる悪化し、その影響が全身に広がるのです。

 実はこれ、エコノミークラス症候群の前兆ともいえる変調なのです。

 

● 座って30分後にはエコノミークラス症候群の キケンな前兆があらわれる

 エコノミークラス症候群は、長時間のフライトなどで起こりやすいことが知られていますが、原因は、そう、座りすぎ。狭い座席でじっとしていると、下半身の血流が滞って血栓ができ、血の塊が肺の血管を詰まらせて、肺塞栓症(はいそくせんしょう)などを誘発するのです。

 エコノミークラス症候群は飛行機搭乗中にだけ起きるわけではありません。東日本大震災や熊本地震では自宅を失った被災者が、自動車の中で寝泊まりしてエコノミークラス症候群にかかってしまい、そのうち何名かは死亡してしまった痛ましい事故が発生しました。記憶にある人も多いでしょう。

 このようにエコノミークラス症候群は、時には命も落とす恐ろしい病ですが、長く座っていれば、航空機内や車の中にかぎらず、デスクワーク中やテレビを見ているときにも起こる可能性があるのです。

 すべては動かないことによる、足の血流不足が始まりです。

● 30分座り続けただけで 血流速度は70%も悪化!

 8月に放映された日本テレビ系列の「世界一受けたい授業」では、著者が座りすぎの弊害と対策について解説しましたが、番組内で紹介された実験では、座って5分もすると血流がたちまち悪化し、30分後には血流速度は70%も低下することがわかりました。

 たった30分でも悪化が顕著なのですから、数時間も座り続ければ体にどのような悪い影響を与えるのか、想像するとぞっとしませんか?

 筋肉の7割は下半身に集中し、足には「第二の心臓」と呼ばれる「ふくらはぎ」や、人体でいちばん大きい太ももの筋肉がついています。どちらも血流と深く関わる要所ですから、下半身を動かさないと血流が悪化して健康がどんどん遠ざかって行くのです。

 血流が滞れば代謝機能も低下し、血中の糖の取り込みや脂肪の分解がスムーズにいかなくなります。すると、余分な糖や脂肪があふれ出て、いわゆる血液ドロドロの状態に。2時間座り続けたあとの血液の状態をみると、明らかに血糖値の上昇がみられ、糖代謝にかかわるインスリンが大幅に減るという報告もあります。また、座っていると、股関節まわりの血管やリンパ管がぎゅっと圧迫されることも、血流悪化の一因です。

 つまり、仕事でよく座る人は、毎日エコノミークラス症候群になりに職場に行くようなもの。そこに徹夜仕事、睡眠不足、深夜のアルコールなど重なれば、体はもうヘトヘト。ついには悲鳴を上げ、ある日突然、本当にエコノミークラス症候群に見舞われたり、脳梗塞や心臓発作で救急搬送されたりという事態にもなりかねません。実際、働き盛りのビジネスマンが倒れるケースは後を絶ちません。

 

● 車掌よりも運転手が不健康だった理由

 座りすぎる職業の危険性をいち早く示したのが、イギリスのJ・N・モリス博士による研究です。調査が実施されたのは、今から60年以上前のこと。当時、ロンドン市内を走る赤い2階建てバスには、運転手と車掌の2名が乗務していましたが、心臓病のかかりやすさを比較したところ、運転手の方が心血管疾患(心筋梗塞や狭心症)を発症する割合が2倍も高いことがわかりました。

 この差を生んだのは運転手の座りすぎです。一方の車掌は立ったまま、バスの中の階段を昇り降りしていたのですから、その差は歴然です。

 ですから、トラックや営業車など運転時間が長くなる仕事の方も厳重注意が必要ですが、事務職やプログラマーなどで、仕事の大半を座って過ごす職業の人も同様です。

 座りすぎは、血流不足から始まる体調不良に加え、運動器の故障も招きます。同じ姿勢で座り続けると、骨や筋肉に部分的な負担がかかりすぎ、腰、肩、首などにコリや痛みが起こりやすくなるのです。座りっぱなしでいると姿勢もくずれ、無理な姿勢を維持しようと筋肉がさらに緊張してガチガチに硬くなるという悪循環。座りすぎの本当の怖さを知らずに放っておけば、筋力、体力もガクッと落ちて老化が進むばかりです。

 とはいえ、真面目に働きすぎる日本人は、体調不良をおしてがんばってしまいがち。「忙しいから」と、休憩もとらずにハードワークや残業をこなせば、それが命取りになることもあります。これだけは何としても避けなければなりません。

 もちろん定年退職で仕事を離れ、今はテレビの前で座りっぱなしというリタイア組も、注意が必要です。