鍋倉夫「リボーンの棋士」(全1~7巻) 感想 | S blog  -えすぶろ-

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-人は年をとるから走るのをやめるのではない、走るのをやめるから年をとるのだ- 『BORN TO RUN』より
走りながら考える ランニング・読書のブログ

今が見えなくても脚を動かせ。

その足跡はいつか道と呼ばれる。

 

プロ棋士養成機関・奨励会で、四段に上がれないまま26歳になった安住浩一は、年齢制限の掟により退会させられ、プロへの道を閉ざされた。
そこからは、人から距離を置かれ、年下からも見下される日々。
それでも安住は、明るく笑顔で前向きに振る舞った。
嫉妬は、湧いてもそれをかき消した。
そうしているうちに、眩いほどのプラスオーラが身についた。
将棋を忘れて、この生き方でいいはずだ、とも一時は思った。
しかし、人生から将棋を切り離せなかった。
アマ棋士としてのリスタートを決意する、安住。
その棋風は以前とは違う、まったく新しいものに進化していた。

 

奨励会でプロ=四段に上がれず、三段のまま26歳の年齢制限を迎え、3年前に退会となった元奨励会員=「元奨(もとしょう)」の安住浩一29歳のリボーン=再生の物語。読み始めたら感動の連続で、全7巻一気に読了してしまう傑作コミック。最後7巻には胸が熱くなりました。このコミックと出会えて本当に良かった。最近読んだ中ではダントツナンバー1!!

将棋の話ですが、将棋の手のマニアックな描写があるわけではなく、あくまでも何かに挫折した人間が再度、「再生=リボーン」していこうとする物語なので、将棋を知らない人でも十分感動できる内容だと思います。

何かに挫折した・夢を諦めたことがある人や、今、挫折し傷ついている人には、きっと刺さる名シーン・セリフ満載、勇気づけられる内容だと思います。

 

俺は立ち直ったはずだ。仕事にもついた。

笑えるようにもなったし、あのプレッシャーに押しつぶされそうな生活は、今はない。

今の生活に何も不満はないはずだ。

なのに---なぜ未来が見えない?

 

やっと気づいたよ。

いくら目を逸しても将棋への想いは消えないんだ。

将棋は俺の一部なんだ。切り捨てられるものじゃなかった。

この気持ちに向き合わなきゃ俺は前に進めない。

これは俺の生き方の問題なんだよ!!

まだくたばってたまるか!!

 

今さら天才に生まれ変わることなどできない。

何度負けても・・・叩きのめされても・・・

そのたび、再生して自分のまま強くなるしかないんだ。

自分は天才なんかじゃない。

でも・・・

将棋を---

将棋を続けてきて、よかった。

 

そして、そんな安住と偶然、街の将棋センターで再会した、同じく元奨(三段)で29歳の土屋貴志、彼もまた安住と共に「リボーン=再生」を体験するもう一人の主役です。

土屋 小学館HPより転載

 

色んなもの犠牲にしてもうそれは取り戻せねえ。

将棋に人生をメチャクチャにされたのに、将棋を憎んでるはずなのに、やめられない。

どうしたらいいかわからねぇんだ。

呪われてるよ。

安住とは対照的に、卑屈で捻じくれてて超ネガティブ思考の土屋。でもそんな土屋が安住に引っ張られ、再度、将棋の道を究めようと再生していく姿には、安住以上に強く心を打たれました。きっと土屋ファンは多いはず・・・土屋名言集とか作りたい(笑)

 

今後何度も読み返していきたいコミックです。