「冬の喝采」黒木亮 箱根駅伝を走った金山雅之の自伝 | S blog  -えすぶろ-

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-人は年をとるから走るのをやめるのではない、走るのをやめるから年をとるのだ- 『BORN TO RUN』より
走りながら考える ランニング・読書のブログ

素晴らしい本を読みました。
ビジネス小説家黒木亮、本名金山雅之の自伝小説「冬の喝采」です。

黒木亮=金山雅之は、あのマラソンの大スター瀬古利彦と早稲田の競走部の同期であり、
共に箱根駅伝を走った陸上選手だったそうです。
その金山の中学2年から大学4年までの長距離走一筋だった青春時代の自伝小説です。

箱根駅伝関連、ランニング関連の小説ではイチオシの作品です。

まるで「運命」のように(エピローグで本当に運命だったことが分かります)、
たまたま中学2年になる直前に「陸上競技マガジン」を読み、
「身体の内部から突き上げてくる、痺れるような衝動」を覚えて走り始めたこと、
高校2年から大学1年まで3年間もの間、
脚の故障が治らずにまともに走ることができなかった辛い時代、
親友の死と淡い初恋、
脚が治り、大学2年から入部した早稲田大学競走部でのこと、
瀬古などの仲間達とのエピソード、トレーニングの事、
特に、後に瀬古と「一卵性師弟」などと言われた名監督、
中村清監督の異常な指導のエピソードの数々、
徐々に頭角をあらわして3年・4年と2年連続で箱根駅伝を走った時のこと、
そして「運命」としか言えない事実が分かる感動のエピローグ・・・
これらのことが淡々と淡々と綴られています。
600頁の長編でしたが、飽きることなく読み進めることができました。
私もランニングを趣味にしているので、
走ることの喜びや苦しさ、故障して走れない時の辛さにも共感できました。

また走ることが好きになりました。
箱根駅伝も・・・

「レースの結果は、わずか一行に集約される。
残るものは、氏名、記録、区間順位、チーム順位の四項目だけである。
そこには、怪我をしていたからとか、風邪をひいていたからと書かれることはない。」


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