連日満員御礼。感謝。


明日で腰巻お仙いよいよ折り返しです。

中日です。

19時より。18時から当日券発売開始です。
前売完売ですが、どうかご検討いただけたら幸いです。




演劇ジャーナリスト
山田勝仁さんが劇評を描いてくださいました^ ^

皆さまも是非とも読んでくださいませ。


以下山田さんの劇評引用です。

一昨日夜はSPACE早稲田で日本劇団協議会主催・新進演劇人育成公演「腰巻お仙 振袖火事の巻」(作=唐十郎、演出=小林七緒)

 日本アングラ演劇史における事件は数々あれど、この芝居ほどインパクトのある公演はなかった。

 時は1969年。ベトナム反戦、反安保闘争で学生運動が燎原の火のように全国に燃え広がり、前年の1968年10月21日の国際反戦デーには新宿駅が中核派・ML派・第四インターなどの新左翼セクトと市民、労働者によって占拠。騒擾罪(後の騒乱罪)が適用され、1000人余が逮捕された。そのため、官憲は新宿での「騒乱」を誘発する動きに神経質になっていた。大人数が集まる公園の管理にも目を光らせていた。

 そんな最中、1969年1月3日。世間が正月休みの最後の日を楽しんでいるその夜、東京都の中止勧告を無視し、新宿西口公園に出現したのが唐十郎率いる状況劇場、通称紅(あか)テントだ。

 前の年に新宿・花園神社を追われた紅テントが再来した新宿。

 怪人二十面相世代の唐十郎が仕組んだのは、二十面相がダイヤを盗む予告をしながら、直前に台所にボヤを起こし、監視の目がそこに集中した隙を狙ってダイヤを頂戴するという「陽動作戦」。

 この作戦によって警察が別の場所に注意を向けた隙に、ゲリラ的に紅テントを建てた。
そして200人の機動隊員が包囲する中、公演を敢行。終演後に劇中で自衛隊員の制服を着た唐と李礼仙(当時)、笹原茂朱らが逮捕され連行されるという演劇史上最もスキャンダラスな演劇公演となった。
「脆弱なる市民の夢に ヅカヅカと踏み込んだ幻の機動隊見よ! 
町は振袖火事だ!!」が当時の惹句。

 もちろん、当時は田舎の中学生。血湧き肉躍る伝説として知っているだけ。
 その「腰巻お仙」が49年ぶりに再演されると聞いては期待しないわけにはいかない。
 
「腰巻お仙」はシリーズもので、「百個の恥丘篇」を皮切りに「忘却篇」「義理人情いろはにほへと篇」などがある。

「振袖火事篇」はそれまでの「お仙シリーズ」の集大成的な作品。

 主人公の横笛お仙=片桐仙子(山丸りな)と幼なじみで自衛隊に入る円谷芳一(祁答院雄貴)との恋の行方を主軸に、そろばん塾の謎の教師・ドクター袋小路(伊藤俊彦)、芳一の父で元戦艦大和の乗組員の床屋(中原和宏)、明智小五郎と名乗る堕胎児(成田浬、勝俣美秋、佐野陽一)ら奇体な登場人物が繰り広げる猥雑なロマン。

 終幕、芳一は恋に破れ自ら戦場に志願するのだが、49年前と現在の日本が通底するかのようだ。
 1964年東京五輪、1970年大阪万博、2020年東京五輪、2025年大阪万博。天皇代変わり、自衛隊海外派兵、憲法改正…。

 アフタートークで、お仙の養父役・爺の大久保鷹さんが「初演にはなかった『寒いよ』というセリフを付け加えた。今の日本は『寒く』ないか。50年前に上演されたこの作品が今の日本を問うているんだ」と言っていた。言い変えれば日本は50年前と変わっていないということ。そしてそれは更に引き返せないほどに悪化しているということだ。

 テントのスペクタクル性とはまた違うSPACE早稲田の小空間を縦横に活用した小林七緒の演出。李礼仙のイメージを払拭しての奮戦、美少女・山丸りな。彼女のデビューから見ているが、脇ではなく主役で光るタイプ。今回のお仙は彼女の魅力の一端を引き出すことができた。
 祁答院は湿気の多い唐十郎美少年と対極の無機質な芳一を好演した。
 ほかに、永遠の客(山下直哉)、ポン引き(眞藤ヒロシ)、看護婦・アキ(原田理央)、看護婦マキ(星美咲)、西口おつた(江口翔平)、サラリーマン(森諒介)、エクスポーゼ70号(橋口佳奈)。
 1時間45分。

 終演後のアフタートークは予期したように大久保鷹さんの独演に。合いの手をいれるので精いっぱい(笑)


以上。


山田さんには今までも色々な芝居を観ていただき

いつも読み応えのある劇評を書いていただいております。





ありがとうございます。