ペットとして飼われていた「ミドリガメ」と呼ばれる外来種の亀が川や池に捨てられて繁殖し、各地で生態系を脅かしているとして、環境省は、輸入や飼育が規制される「特定外来生物」の指定に向けて対策を強化する方針を明らかにしました。
「ミドリガメ」と呼ばれペットとして親しまれているアメリカ原産の「ミシシッピアカミミガメ」は、成長して飼えなくなったなどとして川や池に捨てられるケースが後を絶ちません。
この亀が各地で繁殖し、日本固有の亀の産卵場所を奪うなど生態系に深刻な影響を及ぼし、農作物への被害も出ています。
こうした事態を受けて、北村環境副大臣は、29日、名古屋市内のため池などを視察したあと、ミドリガメについて輸入や飼育が規制される「特定外来生物」の指定に向けて対策の強化に乗り出す考えを明らかにしました。
具体的には全国でミドリガメの生息状況や流通の調査を行うほか、住民や自治体などと協力して駆除を進める体制を作るとしています。
そのうえで、年間10万匹に上るとされるアメリカからの輸入を禁止し、その後、飼育を許可制にするなど5年後をめどに段階的に規制を強化することを検討するとしています。
環境省の推計では、全国で飼育されているミドリガメは180万匹に上るとみられるということで、北村副大臣は「規制の導入が逆に亀を捨てることにつながらないよう飼い主の理解を得ながら進めていきたい」と述べました。
「特定外来生物」は113種類
環境省によりますと、「特定外来生物」は現在113種類の生物が指定されています。
代表的なものには、北アメリカからペットとして輸入され、その後、捨てられたり逃げたりして全国各地で生息が拡大した「アライグマ」がいます。アライグマは農作物を食べたり、寺院などの天井に穴を開けたりする被害が確認されています。
また、南アメリカが原産地で第2次世界大戦中に毛皮のために飼育されていたものが逃げ出し、西日本を中心に生息が広がった「ヌートリア」や、北アメリカから食用魚として輸入され、釣り魚として人気があるため全国各地に放流されて生息が拡大した「オオクチバス」、通称「ブラックバス」もよく知られています。
さらに、オーストラリアが原産地で、貨物などに紛れて持ち込まれ、最近では全国各地で発見が相次いでいる「セアカゴケグモ」などもあります。
日本固有の生物や生態系などへの被害を防ぐため、環境省は、外来種について、「入れない・捨てない・ひろげない」の3原則を徹底してほしいと呼びかけています。