ナオ――夢の中で僕は君をそう呼んでいました。実際に僕が君の事を「ナオ」なんて呼んだことがあったでしょうか?夢の中で僕達は同じ高校の入学式会場にいました。僕の憧れの男女共学校です。そこでお互いを見つけ「ナオ! 同じ学校だったんだ」「同じクラスになると良いね」「そうだね!」なんて会話をしていました。
その後、夢の中で君の登場シーンはありませんでした。たったのこれだけなのです。
中学校の同級生だった君の名はナオミ?ナオコ?どっちだったっけ?同じクラスになった事、有ったっけ?名前もはっきり思い出せない程度の仲で、女の子として意識した事なんて一度もなかった君が30年の時を超えて僕の夢に現れるなんて……
夢から醒め、君の事を少しづつ思い出してきました。そうだ、君と僕は同じ水泳部だったね。僕は一応選手として大会に出たりしてけど、チョッとオデブ(ごめん)でカナヅチの君はそれを克服しようと入部したんだよね。
大会の時はいつもレモンの砂糖漬けを作ってきてくれたり、ストレッチやマッサージを手伝ってくれたり、みんなの為に甲斐甲斐しく動いていたことを思い出しました。そんな君の優しさに当たり前のように甘えていて、少し生意気だった僕は君にちゃんと「ありがとう」を言えてたのでしょうか。
そして、カナヅチの君が一生懸命にがんばって、がんばって、練習して3年生になる頃には、いっぱい泳げるようになった事も思い出しました。
優しい語り口、いつも控えめで皆の世話焼き。僕は優しい努力家の君を心のどこかでちょっぴり尊敬し、特別な存在に感じていたのかもしれません。
僕は工業高校で女っ気のない学生生活を送り、卒業後も男ばかりの職場で青春時代をすごしました。君は何処の高校へ進学して、どんな人生を過ごしているのか僕は知りません。君の事だからきっと優しい良いお母さんになって幸せに暮らしているんでしょうね。これから先、僕の人生で君に会うことがあるのでしょうか?
ナオ、どうぞお元気で、夢でまた会いましょう!
fin
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