§ IIko ∞ Talk §

§ IIko ∞ Talk §

いかがお過ごしでしょうか。




細身の真っ赤なロングドレスを着て
サーカスのステージに立っている




演者達は空中を布状のロープに掴まって
アクロバティックな演目を披露中だ
キラキラしたスパンコール(古いな)
が反射して彼女の目に眩しい


間を持たせるために大きく両手を広げ
サーカスの舞台を盛り上げる様に
優雅にうろつきながら上空を見上げる


何人か逆さにロープに捕まり
近くに回り降りてきては
手を差し出す


照明とスパンコール(古いけど)が眩しくて
目を背ける 素振りをする

だってその手を掴んでも
アクロバティックな回転はできないし
その手を掴める勇気はない
そう彼女の今日は初舞台




稽古には一度も顔を出さず
何か飛び抜けた才能があるわけでもないのに
舞台の中央で主人公ヅラして歩き回っている




そろそろあのメインどころの赤いドレスの女が誰かの手に掴まって引き上げられて
そんじょそこらの回転以上のフリー演目を
繰り広げてくれるんだろうと
観客達の目がキラッキラ輝く



できるわけない
目に見えている
掴めるわけない
ずり落ちるだけだ



ここでいつまでもこうして脚光だけ浴びて
ずっと飽きずに期待だけされて
次のアクションを起こさなくても誰も
非難などしないそこに立っているだけで



そんな結末を少し望んだが
そろそろ雰囲気が怪しくなってくる




子供が騒ぐ
あのおばさん飛ばないけど

しっ そろそろ飛ぶから見てなさい
大人達がなだめる





危険を承知で次第に頻繁になってきた差し伸べられる手の内の1つに委ねて羽ばたくか
素晴らしいショーでしたねと拍手をして
ステージから降りるのか
赤いドレスを脱ぎ捨てて観客達が目を覆う様な新しいショーを始めるのか






なんだか見ていられないな




あたしはいつまでも上空を回る演者と
汗ばみ始めて緊張した面持ちの女と
観客達のざわめきを背に
まだ手をつけていなかったポップコーンを
いくつか掴んで口に放り込みながら
サーカス場を後にした



やっぱりバター醤油にすればよかった