急性骨髄性白血病 移植には臍帯血も

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 白血病の罹患[りかん]率は年々上昇傾向にあり、60代になると急増します。特に最も患者が多いのが急性骨髄性白血病です。治療の基本的な考え方や造血幹細胞移植について、国立病院機構熊本医療センターの日高道弘・臨床研究部長に聞きました。(高本文明)

 ─急性骨髄性白血病とは。

 「白血病は、骨髄の中にあって血液のもとになる造血幹細胞が、白血球、赤血球、血小板にそれぞれ成熟、分化する過程で、がん化して起こります。白血球の中には、主にウイルスを攻撃するリンパ球がありますが、成熟したらリンパ球になる細胞ががん化した場合が急性リンパ性白血病です。リンパ球以外の白血球、赤血球、血小板になる血液細胞が、がん化して白血病細胞になり、急激に無制限に増殖した場合、急性骨髄性白血病となります」

 ─急性骨髄性白血病の原因は。

 「原因は不明で、何らかの遺伝子異常が起きるためとみられています。放射線や抗がん剤によって血液細胞が傷ついて発症する場合もあります」

 ─治療せず放置したら。

 「異常な白血病細胞が増殖して、正常な白血球や赤血球、血小板が造れなくなると、感染症や重度の貧血、息切れ、動悸[どうき]、出血などが起こります。白血病細胞が肝臓や脾臓[ひぞう]などに広がると、痛みを訴えるようになり、さらに進行すると死亡する恐れもあります」

 ─急性骨髄性白血病の患者の割合は。

 「厚生労働省によると、2016年に白血病と診断された人は、約1万3800人です。急性骨髄性は半数以上を占めています。慢性やリンパ性の白血病はより少なく3分の1~4分の1程度です」

 ─診断はどのようにしますか。

 「病状と、血液検査、骨髄検査の結果で判断します。白血球数の異常と赤血球・血小板の減少があれば、強く疑われ、骨髄液を採取して白血病細胞の有無を確かめます」

 ─治療の手順はいかがですか。

 「まず、どんなタイプの白血病か検査しつつ、早期に抗がん剤治療に入ります。抗がん剤で治りやすいタイプか、治りにくいのかは、遺伝子や染色体のどこに異常があるかを調べる遺伝子解析によって、かなり分かるようになってきました。抗がん剤治療だけでは治りにくい場合は、治療を進めながら造血幹細胞移植を準備します」

 ─治療の考え方を教えてください。

 「最初に抗がん剤治療で白血病細胞を徹底的に死滅させるのが基本です。白血病細胞があらかたなくなる状態が『寛解』で、これを目指す最初の治療を寛解導入療法と呼びます。例えば、1兆個あった白血病細胞を千分の1の10億個にまで減らします。寛解に至っても治療をやめると、再発しますので、さらに抗がん剤による寛解後療法を3~4回繰り返します。ここまで半年程度は入退院が必要になります」

 「寛解に至らない方や再発した方は、できるだけ寛解に近づけてから造血幹細胞移植をします」

 ─移植にはどんな方法がありますか。

 「方法としては(1)血縁者、特にきょうだいから造血幹細胞が含まれる骨髄または末梢血[まっしょうけつ]を提供してもらう(2)骨髄バンクに登録した方(非血縁者)から骨髄または末梢血を提供してもらう(3)出産後の胎盤とへその緒に大量に含まれる臍帯血[さいたいけつ]の造血幹細胞を移植する、の三つがあります」

 「骨髄バンクの場合は、適合するドナーが見つかるまで半年程度必要で、ドナーにも心身ともに負担がかかります。一方、臍帯血は既に冷凍保存してありますので、依頼して1カ月ほどでタイミングよく移植ができるメリットがあります」

(2019年2月27日付 熊本日日新聞夕刊掲載)