ゆたかくんはなかよし学級のクラスメート。
はると同じ日、同じ病院で生まれたんだよね。
お母さんとは陣痛室からいっしょだった。
一回も直接話はしなかったけど
なんとなく覚えていた。
同じ日に5人も出産した人がいたけど
覚えていたのはゆたかくんのママだけ。
ゆたかくんママは声が大きくて
なんとなく目立つ人だったから目に付いたんだと思う。
はるは生まれてすぐ新生児集中治療室に入院し
2日目には手術をした。
私はとても不安な気持ちだった。
同じ日に出産した人たちが退院する日
ゆたかくん一家が楽しそうに退院していくのを
うらめしく見ていた。
「あー、あの人の子供は元気なんだ・・・」
3年後、はると通っていた児童施設にゆたかくん親子がやってきた。
私はすぐにわかった。
自己紹介でゆたかくんのお母さんは泣いた。
「3歳になっても言葉が出ない。原因がわからない。
周りに大丈夫だよと励まされるのもつらい。」
とても複雑な気持ちで聞いていた。
それからずっと、クラスメート。
ゆたかくんはまだあんまり言葉がでないし
ときどきふらふらしちゃって危なっかしいんだけど
いつもやさしい顔をしている。
朝、靴箱のところで会うと
支度の遅いはるのこと待っててくれて
手をつないでくれる。
はるもゆたかくんもすごく楽しそうに教室まで歩いていく。
その後姿がかわいくて・・・
同じ日に生まれたのに、ずいぶん背の高さ違うし
お互いマイペースだし、話かみあってないし・・・
変な二人だけど
仲良くしていこうね。


