2005年のイスラエル映画で、
日本では未公開のアモス・ギタイ監督作品
「フリー・ゾーン ~明日が見える場所~」をみました!!

いつもは、世の中で高い評価を得ている作品から観たい映画を
探すんですが、この映画は、低評価と酷評が非常に目立つ作品です。
アモス・ギタイ監督の作品は、どの映画も観る人を選ぶ
作品ばかり
ですが、他の作品は一定以上の評価を得ているので、
これは相当退屈な映画なんだろうなと思って、長いこと保留にしていました。

でも、アモス・ギタイ監督×ナタリー・ポートマン主演
やっぱりどうしても興味があって、
駄作でもいいやと思って借りてみましたw

共演のハンナ・ラズロが、この映画で
第58回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞しています。
日本未公開ですが、第6回東京フィルメックスには出品されたようです。












アメリカ人のレベッカは裕福なイスラエル人の婚約者と共に
エルサレムで暮らしていたが、突然婚約を破棄されてしまう。
失意のレベッカは、彼女を空港に送り届けるために待っていた
イスラエル人のハイヤー運転手ハンナに、
「どこでもいいから連れて行って欲しい」と懇願する。

その日、装甲車の売り掛けビジネスをしているの代わりに、
ヨルダンのフリー・ゾーン(自由貿易地区)へ集金に向かわなければ
ならなかったハンナだったが、レベッカハンナに無理を言い、
フリー・ゾーンへの旅に同行させてもらうのだった・・・
という感じの物語。














全然期待していなかったんですが、意外にも楽しめましたアップ
どうしてこの映画が低評価なのか理解出来ません。。はてなマーク
アモス・ギタイ監督作品の中では、比較的ソフトタッチで、
ロードムービー的な要素もある、なかなか良い映画です
グッド!

パレスチナ問題自体が複雑なので、監督が伝えようとしている事や、
登場人物達の感情を理解するには、ある程度歴史的な背景や、
問題の経緯を理解していることが必須かもしれません。


自分の場合は、元々パレスチナ問題に関心があって、
池上彰の番組で頭の中を整理したり、アモス・ギタイ監督の作品で、
色々な時代のパレスチナ紛争を観てきたので、入りやすかった気がします。

冒頭で、ナタリー・ポートマンが6分間もただ泣き続けるという
シーンがあって、ここでつまずく人も多いみたいですね。。
バックで流れる音楽の歌詞も、


「小羊を猫が食い殺して、その猫を犬が絞め殺して、
その犬を棍棒で叩き殺して、その棍棒を火が焼き尽くして、
その火を水が消して、その水を牛が飲んで、
その牛を殺しに肉屋がやってくる・・・」



という感じの、非常に気持ちが滅入る堂々巡りの歌なんですが、
出口の見えないパレスチナ問題に対するやるせなさみたいなものを
感じる事が出来て、個人的には秀逸な導入だと思いましたキラキラ













以前、「ケドマ 戦禍の起源」の時にも書きましたが、
アモス・ギタイ監督は、「イスラエル・アラブ」といわれる
イスラエルに生まれたアラブ人なので、双方どちらの立場も
理解しながら、複雑な思いを抱えて成長したのかもしれません。

この映画では、イスラエル人女性アメリカ人女性
パレスチナ人女性が、3人で一台の車に乗って旅をするシーンが
ありますが、どの国に肩入れするでもなく、それぞれの立場に立って、
物事を平等に描いている
辺り、複雑な境遇で生きてきた
アモス・ギタイ監督だからこそ描けたのかな?という気がします。

口論の末に大きな希望が見え始めたと思っていたら、
また止めどもなく口論が始まって、そんなのを繰り返している姿を見ると、
約束と裏切りを何十年も繰り返している、国家間の大きな問題を、
3人の女性の日常的な風景という形に縮小して
表現しているように思えて、面白かったですw











何でイスラエルの映画にナタリー・ポートマンはてなマークはてなマークって
言ってる人もいましたが、ナタリー・ポートマン
イスラエル出身のユダヤ系アメリカ人です。

どの映画でみても演技が素晴らしいナタリー・ポートマンに、
イスラエル映画ではお馴染みのヒアム・アッバス
この映画で、カンヌの女優賞を受賞したハンナ・ラズロ
この実力派女優3人の掛け合いは見応え十分で、
この映画の大きな魅力になっていると思いますw

特に、ナタリー・ポートマン× ヒアム・アッバス
ツーショットは、珍しい組合せで新鮮でしたw


これだけ評価の低い作品なので、人にオススメする気にはなれませんが、
観る人によっては、かなり楽しめる映画なんだという事は、
声を大にして言っておきたいですw
パレスチナ問題に関心のある人や、ナタリー・ポートマン
ヒアム・アッバスのファンなら、観る価値ありかもw






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「フリー・ゾーン ~明日が見える場所~」予告編