春になると、道ゆく人の鼻をすする音が街のBGMのよう・・・
電車の中であちこちからくしゃみ、くしゃみ、くしゃみ。
こんな呑気なことを言っていると、花粉症の人から怒られるのでしょうけど、もはや「桜前線」より先に話題になるのは「花粉前線」ですよね。
SNSでは「春、好きなのに目が開けられない」とぼやく投稿も流れ始め、コンビニのレジ横にはティッシュと目薬がセットで並んでくるという、日本の春は、桜の美しさだけでなく、ほんのりと甘く、そしてしょっぱく鼻にくるようになってきました。
ここ最近のこの季節には独特の生活リズムがあり、朝、花粉情報を見て服を選び、外出前にマスクチェックし、仕事や学校が終わると、帰り道で「今日もよく頑張った」と自分を労うようになり、夜は夜で、目をこすりながらも「冬が明け春が来たんだな」とふと感じつつも、純粋に春を楽しむことのできない自分を罵る・・・。
春には、別れや出会い、新生活のスタートなど様々なイベントがあり、なんとなく心が落ち着かない。
会社のデスクがちょっと変わるだけで、まるで新しい人生が始まるような気がしつつも、数日経てば、結局いつものコンビニ、いつものコーヒー、いつもの自分に戻るという、そんなリズムもまた、春の風景の一部といってもいいでしょう。
しかし、桜が咲くと、人はなぜか立ち止まりたくなるのはなぜでしょうね?
散りゆく花びらを見ながら、自分の中にも何かが静かに移ろっていくのを感じつつ、それが花粉であれ、感情であれ、春という季節は「まだここにいるよ」とそっと背中を押してくれる。
今年もマスク越しに笑いながら、目を赤くして歩く人たちがいて、その姿がなんだかちょっと愛しくもあり、春って、結局そういう季節になってきたんだろうなぁ。
