こんな日がくるなら俺は来世に期待しない
こんなにもあなたを愛してるのに
あなたはなぜ俺からいなくなるんだ……

時は大正時代
ここには珍しい遊郭がある
美男が手招きしながら客寄せする
男を抱くという興味本位で来るやつらが街を埋めつくしていた
もちろん普通に遊郭もあるがあえて
一晩を共に快楽へと導いてくれるそんな存在を探し求めている人が多くそこではみな太夫と言われもてはやされていた

そこでは一際美男で凛とした風貌した太夫がいた
その人はゆらゆらと手首を使い扇子を扇いでいた
着物の袖から出ている指先はほんのりピンク色に染まり男性なのか?と疑う
薄く指す紅は唇をさらに一層誘惑されてしまう
目線があった客はすぐさまイチコロだった

主『 さぁ~上物だよ~どうだい~』
手を叩いて客引きする主
ここの主だ

Mew『 …………』

俺は探し歩いていた
昔からの幼なじみで俺の許嫁
男だったが俺たちは恋をしていた
あいつが突然いなくなったのは10年前
あいつの家が一家離散に陥り借金を苦に両親は死んであいつは売られたと聞いた
まだ幼かった俺は何も知らされることなくただ探し歩いていた

Mew『 Gulf………………』

何件も何件も探し歩いたが見つからない

ドボドボ歩いていると人が群れをなして歓声を浴びてる店があった

男性『 いいぞ!!!!』
男性『 脱げ脱げ!!!!』
男性『 足を広げろ!!!!』

ひわいな言葉が飛び交いあっていた

Mew『 こんな所にいないよな……』

騒いでいる人混みのなか店の中がちらりと見えた

Gulf『 最後の1枚でありんすよ?今宵の相手はどなたでありんすか?』

耳を疑った
店に群がる男性達は次々と押し寄せる中俺はその中にとびこんだ

主『 こりゃ!!!身請けの身のくせに何言ってんだ!!!』

Gulf『 ふん!!!』
そういい店の奥に入り姿を消した
客はいっせいに店に入った

俺は主の腕を掴んた
Mew『 あの!!!!!!』
主は不思議がる
主『 なんだい???客か?客じゃないなら帰んな!!!』
Mew『 今の……今の子に合わせてくんさい!!!お願いです!!!』
必死にしがみつく俺にさらに警戒する主
主『 何言ってんだ!!!あいつに会いたいなんて100両はいる!!それに身請けの身だ!!もう相手に買われたんだい!!諦めな!!』
振りはらわれる俺は必死にしがみついた
Mew『 お願いです!このとおり!!!会えたらすぐにいなくなります!だから人目だけでも!』

そんな時店から1人の青年が出てきた

Gulf『 主~お風呂……………………』

Mew『 Gulf………………?』

Gulf『 …………なんで…………』

Mew『 Gulfなのか???』

Gulfは後ずさりして店に入ろうとした俺はすぐさまGulfの手を掴んだ
でも思いっきり振りほどかされる

主は隙を見て店に入り扉を閉じた
主『 もう会えただろ!帰んな!!!!』

俺は扉に額をつけ叩いた
Mew『 Gulf……やっと見つけた…………一緒に帰ろ?』
バンバン!!
Mew『 な?…………Gulf……お願いだよ…………Gulf……Gulf!!!』

扉の向こうにいるGulfはしゃがみこんで泣いていた

Gulf『 遅いよ………………ずっとずっと待ってたのに………… 』

俺はいつの間にか店の前で寝てしまっていた
目を覚ますと知らない民宿に寝ていた
あたりは暗くロウソクの火が街を色づけていた

街には人が沢山いた

民宿の主『 今日身請けするGulfさんのお祝いなんですよ』
Mew『 え…………』

話によると俺がGulfを見つけた時には既に買われたあとだった
そして今日その人の元へとと継ぐ日だと聞いた

自然に流れる涙を止めることが出来ないままGulfの晴れ姿を遠くから見ていた

もう少し早ければお前を俺のものになれたのに

そうして俺はこの命を終わらせた

かつて2人でよく遊んだ桜の木の下で俺はGulfとの思い出と共に………







END