★book★ 『杖』 | Knock on the DOOR ~おしゃれステッキを生み出すステッキアーティスト楓友子(ふゆこ)のブログ♪~

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にょんもー♪


先日読んだ本のご紹介ですハート

多分自分が杖を使って杖をつくってなかったら手にしなかったであろう本(笑)
途中眠気と戦うシーンもありましたが(笑)、でも自分の興味ある部分になるともー目がビンビン輝きましたakn

杖 (ものと人間の文化史)/矢野 憲一

¥3,360
Amazon.co.jp

自分の「へー!へー!へー!」という部分だけですが、まとめてみまひたsei

完全に自己満(というか備忘録)なので、興味のない方はどうぞすっ飛ばしてくださいsei(笑)




■日本の杖の歴史

・日本で実用以外で杖が流行したのは以下の時代
 1)江戸時代初め慶長以後
  …桑杖
 2)元禄の頃(1688~1704)
  …余情杖(よせいづえ)や化粧杖というのがおしゃれな若者や遊里通いのプレイボーイのアクセサリーの一種として流行。また天和から元禄頃の絵画では細身の竹杖を持つ者が多くみられた。
 ※余情とは、物事が終わったあとも心から消えない味わいをいう。また体裁を飾り見栄をはることでもある。余情者とは外見をはなやかにとりつくろう者をいう。
 3)明治維新後
  …明治維新で廃刀令が出るとどうも腰のあたりが淋しくなり、木刀や大和杖といわれた仕込杖や弓杖を持つ人ができ、少壮の人も太い杖を持つ風習が生じたが、明治17~18年を限度に洋風ステッキへと転換

・日本人ではじめて洋風のステッキをついたのは誰?
 →1863年に外国奉行でヨーロッパへ行った池田氏がパリで写した記念写真でステッキらしいものが写されている。

・日本での洋風ステッキの流行
 明治17年頃に紳士のアクセサリーとして流行。この時代、鹿鳴館の貴婦人の中にもパーティーでステッキを手にする人がいた。細身で柄に宝石を飾ったり象牙の飾りがあった。

・明治末から大正までは和風ステッキが大流行(竹や桜や梅など細くて丸い自然木の曲がりを利用したり、握り柄に象牙や水牛の角や貴金属を用いたり、凝った彫刻をほどこしたりした杖)

・1923年の関東大震災の後は一時太身の杖が流行するが、すぐまた細身に変わり、大正末から昭和10年代はじめまで青年たちも得意になってステッキを持つステッキ全盛期を迎えた。このころの風潮でハイカラな若者はステッキをアクセサリーとして携帯して歩いていたそう。

・ステッキの流行は満州事変、日支事変のころからすたれ、次第に持つ人が少なくなり、大東亜戦争がはじまると全く見かけられなくなる。



■西洋の杖の歴史

 ・杖を表わす語はstick, staff, cane, rod, crook, club, wand, crosier, caduceus, thyrsusuなどいろんな単語がある。

 ・魔術師、魔女、妖精のもつ魔法の杖
 …ギリシャ神話のアスクレピオスやヘルメス、モーゼ、アロンも杖を持っており、杖はものを生み出すものとされてきた。また、大地の祖霊や冥界の支配者を呼び起こし、方策を祈る呪具や王者の武器とされ、豊饒、復活、再生、太陽、生命力、男根と、さまざまな象徴とされてきた。

 ・魔法の杖はやがて錬金術師や医者の杖となり、牧者の杖、司教杖となった。

 ・また王の武器や軍の指揮者が手にする杖は力と権力と慈眼のシンボルとされ、古代ローマで自分の歌が絶賛されたら嫉妬深い神にねたまれぬためテュルソスという杖にジキタリスという植物を巻かねばならなかったという。今でも杖に蔦や葡萄の葉やリボンを巻くデザインが多いのはその名残か。

 ・女性がアクセサリーとしてステッキを持ったのは11世紀で、15世紀に少し流行し、18世紀に隆盛した。19世紀末には貴婦人用には握り手に水晶や虎目石、ガラス玉など丸い貴石がついた。貴婦人の手のひらは冷たくなければ上品でないとされたのでハンドクーラーとして貴石を用いたそう。

 ・フランスでは17世紀に紳士に不可欠のアクセサリーとなり、それがイギリスに及び19世紀末まで持続したが20世紀になると次第に流行はすたれていった




いやしかし杖に関する本というのはぜんぜーんないので、私にとってはかなり有り難い勉強本でしたsei
著者の矢野さん、10年以上も前の本でいまさらですが、この本を書いてくださってありがとうございますぺこり


そしてスゴイなー!と思ったのは、この本文のなかでも2つのステッキ屋さんの名前があがっていました。
1つは銀座タカゲンさん
もう1つは新宿チャップリンさん(当時は渋谷だったそうですが)。

私はもちろんどちらの店舗も見に行ったことがありますが、やっぱりこの2店は質が違いますキラキラ


私もこの2社さんのように永く愛されるステッキ屋さんになれるようがんばろーうayasei