アルバイトに

「店長をやってみないか?」

と声を掛けたオーナーだったが、

店長は決まらないでいた。






その間も人手は増えず、大晦日に至っては24Hシフトに入ってみたりする。





年末年始は昼の仕事、休みだったし。

ちょっとお金に色気も出てきて稼ぎたくてたまらなかった。

しかし、発注以外は普通の仕事。




でもその時、店長にと同時に声を掛けられていた大学生は着々と発注や精算、給与計算まで教えてもらっていた。





俺の給与を給料日の前に知っていたことを疑問に思って聞いたら、やれと言われたと…






私は掛け持ちと言うこともあり、通常の仕事を淡々とこなすしかなかった。






ある暇な日、


やる気がみなぎる、『店長をしない?』と声を掛けられた大学生に店長蹴った事、何故か聞いてみる。

 


「大学卒業したいしさ、学校と兼業できないでしょ。ちゃんとした就職したいし」

 


そりゃ、ごもっとも。


有名会社や、企業に就職したいよね。


「おまえは何で蹴ったの?」


『だって若いじゃん。何にも知らないし』


「だよな…ま、俺は(バイトに)長くいるか分かんないし」


『やる気、まんまんなんじゃないの?』


「じゃないって。同期の奴ら辞めたし、辞めづらいしなぁ…給料計算とかは、やれって言われたからだよ。オーナー大変そうだからやってるだけだよ。それに経済大学だしやれると思ったんじゃないの?」



一方、オーナーは・・・

研修の時、大学生で店長やってる奴いたんだよ。

誰でも良いって訳ではないけど、二人ならやれるかもと思って声を掛けてみた。

(この時は)他には声かけてないんだよ。





結局、二人とも店長になる意思はなくバイト・・・ちょっとマセた管理にも手を出したバイトとして続けていくことになる。




やはり、一人で…しかも任せることの出来ない店を切り盛りすることは不可能で。

しばらくして、過去に本店へ問屋から営業に来ていた人材を引き抜くことに。













引き抜かれた彼は、突然やってきた。











「しばらく店でアルバイトとして経験し、本部の店長研修に行きます。その後、この店の店長となりますのでよろしく」







二人、そして他の時間帯のみんなも固まる。。。







これがオーナーの大オーナーへの始まりと、私の戸惑いの始まり。






それと、誰が良運をたぐり寄せたのかどうか?考えさせられる始まりに。









店長になるためヘッドハンティングされた彼は運を手繰り寄せたかのように見えたし、私は運を手放したと思った。