こんにちは!栗林です![]()
皆さんは、世界中のすべての人が愛してやまない、誰もが必ず欲しがる唯一無二の商品をご存じでしょうか?
そうです。
そんなものは、この世にはありません。
もし本当にそのような商品を作ることができれば、あっという間に大金持ちになれるでしょう。
しかし、売れると分かった瞬間に競合他社が次々と参入し、機能やサービスを競う付加価値競争、そして最後には価格競争へと進んでいきます。
そもそも、同じ商品であっても、すべての人が同じベネフィットを求めているわけではありません。
性別、年齢、仕事、収入、家族構成、生活環境が変われば、求める価値も大きく変わります。
ここで重要なのは、誰にでも喜ばれるものを作ろうとすると、結局、誰の心にも強く響かないものになってしまうということです。
今日は、ベネフィットは人によって違う。だからこそ、ターゲットを絞ることが大切というテーマでお話しします。
届けたい相手を明確にしたとき、あなたが提供する価値は、初めて鋭く、強く、相手の心へ届くようになります。
同じ商品でも、求める価値は人によって違う
例えば、同じ自動車を選ぶ場合でも、求めるものは人によって異なります。
- 小さな子供がいる家庭であれば、乗り降りのしやすさ、車内の広さ、安全性を重視するでしょう。
- 仕事で毎月何千キロも走る人であれば、燃費、耐久性、荷物の積載量が重要になります。
- 車が趣味の人であれば、加速性能、デザイン、運転する楽しさを求めるかもしれません。
- 成功を形として実感したい人なら、ブランド、希少性、所有する喜びに価値を感じます。
同じ「車が欲しい」という言葉でも、その奥にあるベネフィットはまったく違うのです。
それにもかかわらず、「広くて、速くて、燃費が良くて、高級感があって、価格も安い車です」とすべてを訴えようとすると、結局、その車が誰のための商品なのか分からなくなります。
すべてを伝えようとするほど、魅力は薄くなってしまうのです。
「誰に売るか」で伝える言葉は変わる
商品が同じでも、ターゲットが変われば伝えるべき言葉も変わります。
例えば、一つのホテルを紹介するとします。
- 小さな子供を連れた家族には、「子供と一緒でも安心して過ごせる広い客室と充実した設備」という魅力が響くでしょう。
- 恋人との記念日を過ごしたい人には、「日常を離れ、大切な人と二人だけの特別な時間を過ごせる空間」という伝え方が合います。
- 仕事で利用する人には、「駅から近く、移動時間を減らし、静かな環境で翌日の仕事に備えられるホテル」という価値が重要になります。
建物も客室も同じです。
しかし、ターゲットによって求める未来が違うため、伝えるべきベネフィットも変わります。
売れる文章とは、商品の説明が上手な文章ではありません。
特定の相手に「これは自分のための商品だ」と感じてもらえる文章です。
ターゲットを絞ることは、お客様を捨てることではない
ターゲットを絞るという話をすると、
「対象を狭くしたら、売上が減るのではないか」
「できるだけ多くの人に売った方がいいのではないか」
と考える人がいます。
しかし、ターゲットを絞ることは、それ以外のお客様を断るという意味ではありません。
最も価値を提供できる相手を明確にするということです。
誰に向けているのか分からない商品は、誰から見ても「自分には関係ない商品」に見えます。
一方で、「まさに自分の悩みを解決してくれる」と感じてもらえれば、その商品は一気に特別な存在になります。
広く浅く伝えるよりも、狭く深く届ける。
その方が結果として評判が生まれ、紹介が増え、当初想定していなかったお客様にまで広がることがあります。
強い商品は、最初から全員に愛される商品ではありません。
特定の誰かに、圧倒的に必要とされる商品です。
天井クレーンも「すべての工場向け」では響かない
私たちが扱う天井クレーンでも同じです。
単に、「天井クレーンを製造・設置します」と伝えるだけでは、数多くあるクレーン会社との違いは伝わりません。
しかし、ターゲットを明確にすれば、提案する価値が変わります。
- 建屋のスペースに制約がある工場には、「限られた空間を最大限に活用し、これまで届かなかった場所まで荷物を運べる設備」という価値があります。
- 重量物を人力で扱っている工場には、「作業員の身体的負担を減らし、安全性と生産性を同時に高める設備」という価値があります。
- 設備停止が大きな損失につながる工場には、「故障による生産停止を防ぎ、安定した操業を支える保守体制」が重要です。
- 新工場を建設する企業には、「設計段階から相談でき、建屋と生産工程に適した設備を一貫して任せられる安心」が求められます。
同じ天井クレーンでも、お客様の課題によって価値は変わります。
だからこそ、最初からすべての工場へ同じ説明をするのではなく、相手に合わせて提案を変えなければならないのです。
ターゲットは具体的に描く
「工場で働く人」
「車が欲しい人」
「健康になりたい人」
これだけでは、ターゲットを絞ったことにはなりません。
- その人は、どのような環境で働いているのか。
- 何に困っているのか。
- 何を不安に感じているのか。
- どのような未来を望んでいるのか。
- 商品を選ぶとき、何を最優先するのか。
そこまで具体的に考える必要があります。
例えば、「重量物を扱う従業員の負担と事故のリスクを減らしたいが、建屋の構造上、一般的な天井クレーンを設置できず困っている工場責任者」ここまで絞れば、必要な商品、伝える言葉、提案内容が見えてきます。
- 架台式にするのか
- サスペンション式にするのか
- 軽レールを採用するのか
- 建屋への負担をどのように抑えるのか
ターゲットを具体的にするほど、提案も具体的になります。
そして、具体的な提案ほど相手の心に届きます。
売れない原因は、商品の悪さとは限らない
- 良い商品なのに売れない
- 一生懸命に情報を発信しているのに反応がない
- 営業に行っても価格だけで比較される
その原因は、商品そのものではなく、ターゲットが曖昧だからかもしれません。
相手が不明確であれば、相手の悩みも分かりません。
悩みが分からなければ、どのベネフィットを伝えるべきかも決まりません。
その結果、機能や性能ばかりを並べた、どこにでもある説明になってしまいます。
「この商品には、これだけ多くの機能があります」という説明よりも、「あなたが今抱えている、この問題を解決できます」という言葉の方が、はるかに強く伝わります。
商品の魅力を増やす前に、誰に届けるのかを明確にする。
それだけで、同じ商品の価値が何倍にも伝わることがあります。
誰にでも選ばれようとしない
ビジネスでは、嫌われないことよりも、必要な人から強く選ばれることが重要です。
誰にでも好かれようとすると、特徴を出せません。
価格も、品質も、サービスも平均的になり、最終的には「安い会社」が選ばれます。
反対に、自分たちが最も力を発揮できる相手を明確にし、その相手に必要な価値を磨けば、価格だけでは比較されにくくなります。
「この問題なら、この会社に頼みたい」
そう思われる存在になることが、競争から抜け出す方法です。
大切なのは市場を広く見ることではありません。
自分たちが勝てる場所を見つけ、そこで圧倒的な価値を提供することです。
ターゲットが明確になると、努力も変わる
ターゲットを絞ると、商品だけでなく、仕事のすべてが変わります。
- 何を作るべきか
- 何を改善すべきか
- どのような情報を発信すべきか
- 誰に営業すべきか
- 何に時間とお金を使うべきか
その判断基準が明確になります。
ターゲットが曖昧なままでは、思いついたことを次々と試し、時間とお金を消費してしまいます。
しかし、届ける相手が決まれば、必要のない行動を減らし、本当に価値を生む仕事へ集中できます。
ターゲットを絞ることは、単なる販売戦略ではありません。
限られた経営資源を、最も成果の出る場所へ集中させる経営判断なのです。
では、どのようにして、自分に合ったターゲットを見つければよいのでしょうか。
- 市場が大きいから
- 流行しているから
- 儲かりそうだから
それだけで決めると、強い競合と同じ条件で戦うことになり、簡単には勝てません。
重要なのは、自分の経験、知識、技術、人脈、性格など、自分がすでに持っている強みを生かすことです。
明日は、「自分の得意を生かしたターゲットの絞り方」についてお話しします。
誰かの成功を追いかけるのではなく、自分だからこそ価値を提供できる相手を見つける。
そこに、価格競争から抜け出し、選ばれる存在になるための答えがあります。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。