金田一の特別コラム~上川外相外しは自民党の終焉 | KCR総研代表 金田一洋次郎の証券アナリスト日記

金田一の特別コラム~上川外相外しは自民党の終焉

 上川外相の静岡県知事選挙の応援演説での「うまずして何が女性か」との発言が話題となっている。

 いよいよ来たかという感じである。私は、本年1月29日開催のセミナーで、本年予測の目玉として自民党総裁に上川氏(女性)の可能性大と予測したが、早くもネガティブキャンペーンが始まったという感じだ。

 私が、上川氏が総裁にふさわしいと感じたのは、確かに選挙に勝つためには、日本初の宰相として女性であるという側面は多々あるが、何よりもその顔である。自民党の重鎮が、持ち上げるためだか真意は分からないが、かつて上川氏の器量をさげすむような発言があったが、私は、責任感のある立派な顔だと感じている。

 私は、職業柄、経営者に会うことが常であるが、大企業であれ、中小企業であれ、経営者もやはり顔である。ある程度の年齢が経つと、木の年輪のように人間にも顔に年輪が刻まれる。何もしゃべらなくても、その人の顔がその人の信用を決めると思っている。

 上川氏も自民党にいる以上、これまでの出世のためには、決して金に関してクリーンではないかもしれない。ハーバード大政治行政学修士の才媛であることは自他ともに認めるところであろうが、しかし、政治活動において最初は無所属で選挙に出馬しており、落選したのち、自民党に入党しその後も1度選挙に落ちるなどなかなかの苦労人である。この背景には、2世や派閥など後ろだてのない上川氏にとって、自ら這い上がるため様々な経験をしてきたことが起因していると思う。

 また、法務大臣時代には、オウム真理教のトップを死刑にするなど、いわゆる宗教トップに対し、厳しい姿勢をみせていることも信頼できる。

 上川氏は、今や自民党にとっては、貴重な人材である。その貴重な人材をつぶしにかかるのは、やはり自民党なのか。あげ足をとって野党がつぶしにかかるのは分かる。当然だ。今、野党にとっては上川氏がもっとも恐れる、選挙の顔となるかもしれないからだ。

 その貴重な人材を、発言の真意も正確に報道されないまま、味方であるはずの自民党トップの首相は注意し、上川氏は発言の撤回に追い込まれた。次のトップとなるべき人物を蹴落とし、野党や、一部、発言を切り取るメディアの思惑が一致してのこの騒動。

 本当に、迫りくる選挙に危機感があるのであれば、もう少しまともな議論になるのではないか。それすらできない自民党は、いよいよ最終局面に向かっていると感じざるを得ない。

金田一