最低賃金1500円実現を目指せ!~金田一コラム | KCR総研代表 金田一洋次郎の証券アナリスト日記

最低賃金1500円実現を目指せ!~金田一コラム

 インフレ対処法として、最も効果的なものは何か?現状の日本におけるインフレは決して褒められたものではないことはご承知の通り。

 物価の値上がりばかりが先行し、家計は厳しくなるばかり。おまけに円安が重なり、年末の海外旅行者は激減と聞く。そのうえ、年初から輪島を中心とする能登地震、2日目には、あり得ない日航機事故と重大インシデントが続く。

 挙句の果ては、現職国会議員が逮捕され、さながらロッキード事件、リクルート事件を彷彿させる年明けとなっている。ロッキード、リクルートも勃発は辰年だったそうだ。長年、我が国を支配してきた自民党政治の因果を感じずにはいられない。

 この難局に関し、国民の気持ちを高揚させるためにも、最低賃金の大幅なアップを提言したい。既に、いくつかの野党が掲げている政策であるが、デフレ時にはできないこともインフレ時にできる。今、やらなくてどうするとも言いたい。

 何せ、物価がこれだけ上がっているのだ。真の意味でもデフレ脱却のためにも、今こそ、最低賃金を大幅に引き上げるチャンスである。現状の最低賃金は、OECDにおいては、14位(2018年データ)で韓国にも抜かれている始末である。

 海外比較で言えば、先進国で、唯一、米国が下にいるが、、ご存じと通り、米国は、世界で最も貧富の差が激しい国である。その証拠に平均年収では一躍トップの国となる。いかに上位数%の富裕層が超がつくリッチなのか分かると思う。

 この国は、どこを向いて進んでいるのだろうか。米国のように貧富の差がある国にしたいのか。今の政治の流れでは、そのように感じで仕方がならない。今こそ、政治は、庶民目線に戻って、正しい政策をなすべきである。

 今の政治の方向は、最低賃金を上げる方向には向いておらず、賃上げは民間任せで、余裕のある大企業は、昨年並みの数%の賃上げでごまかそうとしている。

 しかし、現状の日本企業は、中小零細が、多数を占めており、彼らにとっては数%の賃金上昇も死活問題である。従って、ここに税金を投入すべきである。最低賃金を1500円にすれば、現状のドルベースでは、約10.7ドルとなり、カナダを抜いて9位と10位以内にランクされることになる。

 今は、正社員のベースアップよりも生活に困窮している、パート・アルバイト・派遣などの最低賃金に注目すべきである。彼らの収入が上がれば、当然に消費するわけであり、その政策のための税金投入であれば、停滞している経済にも弾みがつく。

 無論、大企業も多くの派遣、パートタイマーを雇用しているわけであるから、正社員の昇給に加え、最低賃金を上げることで、溜め込んでいる内部留保を吐き出させることができる。

 インフレであるからこそ、できない政策がある。死に体の政治体制かもしれないが、思い切って、通常国会で、最低賃金策を議論してほしいと願っている。

金田一拝