ガソリン価格の高騰政策に異議あり! | KCR総研代表 金田一洋次郎の証券アナリスト日記

ガソリン価格の高騰政策に異議あり!

 ガソリン価格が高騰している。不思議でならないが、というのも、ガソリン価格は、一時よりも国際価格は安定しているからだ。

 NY原油の高値は2022年3月7日に高値129.42ドルを付けた後、ずっと下落基調が続いてきた。確かに本年6月からは60ドル前半近辺から反転し、上昇しているが、それでも現在87ドル付近で推移している。

 つまり、昨年3月からの国際相場は、ずっと下落し続けており、今年6月からの反転はあるものの、最高値には、はるかに及ばない。

 とすれば、原因は、円安にあると考えるのが自然であろう。原油価格高値の3月7日のドル円相場の終値は117円近辺である。今は、147円近辺と30円も円安になっている。

 ならば、ガソリン価格を引き下げるには円安対策が最も重要となることになる。ご存じのように、我が国は既に輸出大国ではなく、円安の恩恵を受けるのは、大企業をはじめとした少数派の企業のみである。

 実質賃金も上がらず、輸入物価は高騰し続ける中、現状の円安は、庶民の生活を苦しめる諸悪の根源であることは言を待たない。

 しかし、政府は、諸悪の根源に目を向けているのではなく、目先の補助金によって、ガソリン価格を安定させようとしている。元受けに対する補助金は、以前から実施しており、今回、予算の余りを使って、調整するというが、以前の実績からもガソリンは上がり続けており、効果が限定的であり、期限つきであることは明白である。

 ガソリンは、多額の税金がかけられており、さらに消費税もかかり、現在、60円程度が税金とされている。補助金などとまどろっこしいことをするより、一時的であっても、なぜ、減税しようとしないのか不思議でならない。

 また、緊急時のためにトリガー条項なるものがある。レギュラーガソリン1リットルあたりの平均小売価格が3か月連続で160円を超えた場合、ガソリン税の一部の課税を停止するというもので、実際に発動されればガソリン価格が1リットルあたり25.1円引き下げられるというが、これも発動を明確に否定している。

 どうあっても、今の政府は、減税のゲの字もなく、補助金バラマキでその場をしのぎたいようである。補助金バラマキは、必ず、中抜きがあるし、無駄遣いが多くなる。本当に、先々、日本の将来を考えて政策を実行しているのか、はなはだ疑問である。

 しかし、国民も国民である。ガソリン価格を補助金延長で、175円程度に抑える政策が、功を奏し、内閣支持率は上昇したという。根本の問題に目を向けず、その場凌ぎで、支持率が揺れ動くようでは、残念ながら、この国は、益々貧しくなるだけである。

金田一