こんなに脆弱で、本当にインターネット未来は明るいのか!? | KCR総研代表 金田一洋次郎の証券アナリスト日記

こんなに脆弱で、本当にインターネット未来は明るいのか!?

 今、病院を狙ったサイバー攻撃が多発しているという。つい先ごろも、大阪の大きな病院が狙われ、電子カルテが活用できなくなり、復元と引き換えに金銭を要求する問題が発生した。その病院への影響は甚大で、緊急性の高い手術以外を延期し、救急患者の受け入れを停止。非常に大きな影響が出ているという。

 現状も、復旧の報告はなく、少なくとも丸1日以上が経っている。復旧したとしても、またアタックされる可能性が高く、根本解決にはならない。こうした事例は、世界各国で散見されるといい、世界的にサイバー対策を考える必要がある。

 しかし、ことはそう簡単とも思えない。インターネットは、確かに、SNSの発展に見られるように、私たちの生活を変え、より便利で効率的なものにした。私自身の仕事もいつのもにかインターネットがなければ何もできない状況になっており、大なり、小なり、すべての企業、個人においてもそうだろう。どこか遠い世界のことだと思っていた、サイバー攻撃でも、もし自分が狙われたらどうか!?考えてみたことがあるだろうか?

 考えてみれば、インターネットのセキュリティは脆弱で、システムの知識を悪用すれば、侵入は極めて容易に思える。問題は、サーバー侵入の際、現在社会では、サーバー会社や、システム構築会社に対して、何のお咎めもないことである。彼らは、単に作りぱなしであり、サーバーを預かるプロバイダーは、個々に貸すだけ。侵入関しては、何のお咎めもない。いざ、侵入されれば、いきなり個々の問題として解決しなければならない。

 今回のランサムウエアと呼ばれる身代金要求型ウィルスのような形でなくとも、個人情報の流出や書き換え、追跡を逃れるための乗っ取りによるなりすましでも容易に実現できるのがインターネットの世界である。しかもその技術には完成形がなく、技術に関しても、脆弱性が検証されないまま、安易に技術が使われ、またその技術も古くなり、新しい技術を導入しようにも、その専門性故、人材が不足している。そのうえ、AIまでが加われば、そのうちメカニズムが複雑すぎて原因究明すら難しく人間自体が制御できなくなる可能性すらある。

 今回の事件でも、外部専門家の知恵を積極的に使うべきとの意見があるが、ことはそう容易でなく、国家レベルでも、こうしたインターネットの脆弱性を逆手に暗号資産を盗む輩がいるのだから、ハッカー集団は、世界がインターネット社会に突き進むのを見て、愉快でしょうがないのではないだろうか。

 菅政権時代にできたデジタル庁の仕事は、マイナナンバーを普及させることだけではないはずだ。インターネットを取り巻く、周辺の法整備、各自のセキュリティに関する役割分担など、その責任は重い。しかし、現状は、迷惑メール対策ひつとみても、こうした危機的な環境に注視することなく、IT化の加速だけに目を奪われているような気がする。ことが重大になってからでは遅い。

 思えば、アナログ社会は、それ自体が最強のセキュリティだったと懐かしむ時代が来ないか心配である。