米国の国益は日本の国益にあらず! | KCR総研代表 金田一洋次郎の証券アナリスト日記

米国の国益は日本の国益にあらず!

 アフガニスタン情勢が極めて不透明になっているのは、周知の通り。20年に及ぶ戦争の終結が米国人の悲願であり、トランプ時代の合意を受けてバイデン政権が決断したとはいえ、この顛末はあまりにお粗末すぎないだろうか。

 いや、わが国日本の醜態である。今回の撤収を見るに撤退作戦は、作戦といえるものではなく、その成果があまりにもひどすぎるからだ。500人を輸送するはずの輸送機に乗れたのは、たった一人。日本のために働いていた大使館関係のアフガニスタン人は置き去りのまま。何人かは爆破テロに巻き込まれたのか、巻き込まれていないのか、それすら分からない。現地の大使館員は早々に逃げたと聞く。だから現地で手引きする日本人もいない。アフガニスタン人の目に日本人はどのように映っているのであろうか。

 考えただけで恥ずかしくなる。在アフガニスタン日本大使館の発表によれば、アフガニスタンに残っていた大使館の館員12名は、8月17日には友好国(多分米軍)の軍用機によりカブール国際空港から出国し、アラブ首長国連邦のドバイに退避し、イスタンブールに仮の事務所を設置したとある。しかし、日本のTVは、退避した大使はおろか大使館職員のインタビューさえ放送しない。一体、残された邦人はどのくらいいて、協力したアフガニスタン人はどこで何をしているのか。

 こうした危機的状況において、自衛隊の武器使用をはじめ、現状の憲法及び自衛隊法が足かせになっているのは分かるが、このような状況を見ても、我々日本人は、有事の際、本気で米国が守ってくれると思っているのだろうか。世界情勢は、近年、不安定化が増しており、今後さらに不安定化していくことが想定される。

「米国の国益は日本の国益にあらず!」このことを頭に叩き込んで、危機管理体制を築かなければならない。日本のこうした危機管理の欠如が、この後、もっと大きな危機を誘発する気がしてならない。

金田一