強いリーダーの出現を望む | KCR総研代表 金田一洋次郎の証券アナリスト日記

強いリーダーの出現を望む

民主代表選に小沢一郎が立ったことに驚きを感じた
読者も多いのではないだろうか。


私は政治アナリストではないから、政界に特別な人脈や
情報を持っているわけではなく、政治に関することは、
新聞やメディア、評論家の論評などからであり、一般の
国民とほとんど変わらない。


その意味では、予測に関しては一般に迎合するきらいがあり
政治に関する予想は、自分でもあてにはしていない。

だから、今回は予測ではなく自分の正直な気持ちを吐露して
みたいと思う。


民主政権に代わって1年。この間何も変わらない、いやむしろ
悪くなっていると感じているのは、大方の国民の感想であろう。
私自身、1年前の衆院選では民主党を支持した有権者の1人であり
この1年間の同党の迷走ぶりは目に余るものがある。かといって
最大野党である自民党にもこれといった政策も見当たらず、また
何より、ついこの間まで政権与党であった党であるから、以前の
ように返り咲いてもまた元の木阿弥である。


このように多くの国民の間で政治に関するあきらめと失望感が
広がるなか、たぶん立たないであろうと言われていた、小沢一郎
が代表選に立ったことは、少なからず私には驚きであった。


政策通のコラムなどを読む限り、仮に小沢一郎が代表選に立って
代表すなわち総理大臣に就任した場合、ご存知のように政治とカネ
の問題で刑事被告人となる可能性のある人物が首相となるのだから
その時点で先の国会は空転、いずれにせよ内閣総辞職、衆院解散と
なるとの見通しを示している。


壊し屋、小沢。確かに氏の歴史を見る限り、そう予測するのが素直
な見方かもしれない。


しかし、私自身が、小沢に持っている印象は違う。今から20年ほど
前のことになるが、以前勤めていた会社が丸の内にあった頃、社の
表玄関で社長秘書に深々と頭を下げられ見送らてていた同氏を偶然
目にしたことがある。


当時でも同氏は確か竹下内閣時代の党幹事長を史上最年少で就任し
話題の人物であったと思うが、多分、証券界への挨拶回りであった
のであろう、特におつきも付けず、颯爽と笑顔で一人で去ってゆく
姿は、テレビで知る政治家とは随分印象が違うなと感じた光景であ
った。


もっともこの印象だけで、人物の大きさを決めるのは無理があろう。
しかし、マスコミなどで知ったわけではない同氏の人物の大きさを
私なりに感じた瞬間であった。


マスコミや世間はあまり高く評価していないようだが、最近、国際
的にみても小沢の大きさを感じた一幕があった。中国国家元首
胡錦濤国家主席の大握手会である。100人を超える国会議員との握手会
を揶揄する声も多いが、私の見方は少し違う。このような馬鹿げたと
もいえるイベントを中国側了承させた手腕に小沢の凄さを感じるので
ある。


首相の器は、国内政治だけではない、外交交渉力、国際間的バランス
感覚が必要なことはいうまでもない。今、日本の政治家のなかに、
諸外国と対等に、また内政においても官僚とまともにやりあえる政治家
がいるだろうか。


かって、小泉氏は、派閥への力は弱かった(つまり政治家には人気が
なかった)が、国民の圧倒的な支持を得て長期政権を築くことができた。
対する小沢は、数の上では支持者が多い(政治家には人気がある)が国民
の人気はいま一つのようである。


しかし、実際のところは、首相になってみなくては、その人物の人となりは
私たちには分らないのだから、私は一度は小沢に首相になってほしいと真剣
に思っている。そうした中で国民の真摯な評価を受け、国民にも政治家にも
支持される政治家が生まれれば、この閉塞感から必ずや突破できるであろう。


菅首相は、悪くはないが、小沢とは力の差が歴然としすぎている。代表選の
行方はどのような結果になるのか全く予想がつかないが、今、時代は、改めて
強いリーダーを望んでいると思う。


(文中敬称略)