紗江子が いつものように 207の個室の病室に入ると、
また あの子が 小説を読んでいた。
あの子は いつも何を読んでいるんだろうと
思いながら 紗江子はいつものように 子供に
話しかけた。
「そろそろ リハビリの時間ですよ、
早く行きましょう」
少年は軽症ではあったが 脳になんらかの後遺症が残っていた。
病院の医者も よく分からないといっていたが
リハビリはするように 指示されていたので
子供------海谷くんを
リハビリステーションに連れて行った。
海谷くんがリハビリをしている間
紗江子は病室に戻り シーツなどのベットの整理を行っていた。
そして 紗江子が洗濯が必要と判断したものを持ち
病室を出ようと振り返ったとき そこには男が居た。
紗江子は とっさに
「海谷くんは 先程 リハビリに向かいましたよ。
あと30分くらいで戻ってくると思うんですけど…。」
すると 男は いやいやと言い、おもむろにスーツのポケットから
黒い手帳を出して見せた。
刑事ドラマとかでよく見る アレだ。
男は 紗江子に向かって
「喫茶店爆破事故にあった 海谷 笙気くんに お話を伺いたいのですが?
大丈夫でしょうか?」
男は古埜という名前だった。
紗江子はあきれた表情で
「まぁ 仕方ないと思いますが
すぐ終わらせてあげてください。
あの子は精神的にもかなり弱ってるから…。」
紗江子は 古埜に対し 睨みをきかせた。
古埜は その表情に気がつき
「いや、そこまで長くはかかりませんよ」
と紗江子に言った。
紗江子は 壁にかけてある時計を見た。
…そろそろ海谷君が戻ってくる。