イライラする時はどんなときだろう。
相手が待ち合わせ時間に来ない、仕事が遅れる、理不尽な事を言われる、こちらがこれだけやっているのに相手がそれに見合ったアクションを返してくれない、阪神が弱い、
など、人は回りの人やモノが自分の予想通りに動かない時にイライラする。
このイライラを研究すると様々な気づきがある。
世を観るとイライラ発生の最たるものの一つが子育てのようだ。
内観、自省する良い機会を与えてくれる。
しかも毎日。
"○○に決まっている"、"あなたの為を思って"を日々壊す。
そしてできるだけ一緒に感じる。考える。
日々の生活の中で。
言うは易し行うは難し。
天外伺朗さんから参考になりそうなメルマガが届いたので転載。
セミナー等のお知らせ以外はそのまま載せます。
天外さんのコトバを読むと、どうも子どもを通して自分の幼少期を研究する必要があると感じました。
【天外伺朗】
本名 土井利忠、元ソニー上席常務、工学博士(東北大学)
以下転載




天外レポートNo65 (2012年8月8日)
意外と思われるかもしれませんが、企業の経営と 子育てとは多くの共通点があります。
今回は、「経営者(親、教師)が従業員(子)に、知らず知らずのうちにプレッシャーをかけ、その抑圧の投影から、様々な問題行動に走る動機が湧き上がってくる」という話題です。
経営でも教育でもプレッシャーは、あまりにもあたりまえであり、誰も疑問に思っていません。
むしろ世の中は、それを当然のこととして、いかに問題行動を防ぐかに心を砕いています。
企業なら、モラルを高める教育をし、しっかりと チェックできる体制を作り、不正を発見したら処罰 をする、というマネジメントがおこなわれています。
チェック体制は、経営全体の中でかなりのコストを占めています。
たとえば、出張旅費精算のチェックをするためにきわめて多くの経理部員の時間が費やされています。
ところが、出張旅費精算のチェックなどのチェック体制そのものが「抑圧」になっていることは誰も気づきません。
従業員に対して「あなたを信頼していませんよ」という露骨なメッセーになっており、従業員は無意識のうちにプレッシャーを受けています。
いまの一般的な企業経営は、ありとあらゆるところで「不信頼」のメッセージを発信しており、 従業員にすさまじい「抑圧」をかけています。
それによる歪んだ衝動を従業員は理性で抑え、会社は莫大な費用をかけて不正をチェックしている、というマッチポンプの喜劇的な構造になっています。
この構造は、皆がやっているため誰も不思議に思っていませんが、「抑圧」のない企業経営の例を知れば納得していただけると思います。
山田昭男さんが創業した未来工業では、従業員を徹底的に信頼するかわりに、一切のチェック体制を排除してしまいました。チェック体制がないので、不正があるか無いかはわからないのですが、大方の予想に反してほとんど不正は行われていないようです。
これに関しては後で述べます。
さて、「上からの抑圧に対する憂さ晴らし」によって問題行動を起こすのは、子どもの場合でも同じです。
親や教師は、日常的にすさまじい抑圧を子どもに与えているのですが、それに気付いている人はほとんどいません。
普通は、企業の場合と同じく、何が悪い事かを教えて、それをしないように、という倫理教育を行います。
その倫理教育そのものが、また新たな「抑圧」になっています。
「抑圧」につながる「しつけ」を極力避けて、子どもの自主性を尊重すると、一定の年齢で自らの内側からの倫理観をしっかり確立していくことを、多くの教育者が発見しています。
これは、山田昭男さんのマネジメントに通じるところがありそうです。
「しつけ」による外側から強制された倫理観はもろく、社会の上層部に上り詰めた人でも、ときにはとんでもない悪事やスキャンダルにまみれることがあります。
それに対して、内側からの倫理観は、はるかにしっかり強固に定着しています。
拙著『「生きる力」の強い子を育てる』(飛鳥新社)では、そういう教育をご紹介しました。
一般に、経営者でも親でも教師でも、自分の言動が従業員や子どもに「抑圧」を与えている事が自覚できてていません。
自覚するためには、かなり長期にわたって自らと向き合う必要性があります。
以下に示す例は、教育熱心で「サドベリースクール」という、私が上記の本で紹介した自由な教育を実践している学校に子どもを通わせている母親が、気づかぬうちに子どもに「抑圧」を与えてしまい、それが原因で盗癖が出てしまったというケースです。
FB(フェースブック)で私と母親が簡単なやり取りをした結果、盗癖はあっさり解消しました。
天外塾にご参加いただいているその塾生(母親)から、お子さんの盗癖についてご相談を受けたのですが、お子さんは全寮制の「きのくに子どもの村」という学校を希望していたのに、お母さんがさみしいという理由で自宅から通える「東京サドベリー」にしたということでした。
ご本人の了承が得られましたので、FBでのやりとりをそのまま掲載します。
㈰[天外]もしお子さんが希望しておられるなら、なるべくそれに沿う方がよいように思います。
希望が聞き届けられないとどこかで憂さを晴らします。
それから、7歳ですと論理をつかさどる脳がまだ発達していませんから、理屈を言っても何の意味もありません。
もう少し情動に寄り添う工夫が出来るといいなあ
㈪[塾生] 天外さん、コメントありがとうございます。
情動に寄り添う工夫とは、長女の気持ちを汲んであげる、という事でしょうか。例えば「ふーん、そうなんだ、お金ほしいのね。」とその気持ちを認める、受け止める、という感じですか?
㈫[天外] あまりテクニックに走らないでください。
マインドを開いて相手の情動を感じて同調する、と言う意味です。
なんか、働きかけよう、働きかけようとあせっており、感じる事を忘れているんじゃないかな・・・そうだとすると、娘さんはつらいよ。
むしろ寮生活の方がいいかも・・・
㈬[塾生] そっか、感じるんですね。働きかけようとしたきらいは、確かにあります(>_<) 「マインドを開いて相手の情動を感じて同調する」ですね。
やってみます。
ありがとうございます。以前、なぜ寮生活がいいの?
と聞いたら、ママに怒られないから、と言っていました。
天外さんの読み、図星です…(。-_-。)
㈭[天外] 盗癖もおそらく、ママのプレッシャーが抑圧されて投影しています。
ただ、本人にはそれはわかりませんから、問いただす事は絶対に避けて下さい。
寮に入ればあっという間に解消するでしょう。
㈮[塾生] ありがとうございます。昨晩は天外さんからこんなコメントをいただいたよ、と家族(含長女)に報告したところ、長女からは「今度ママが怒ったら“てんげさん!”って言うからね」と言われ、笑っちゃいました。
ところで、長女から電話があり、学校から自宅まで徒歩で帰ってる、とのこと。バスで40分の道のり。
私は地図片手にナビ。ホントに歩いて帰ってこれるのか( ̄◇ ̄;) と思いつつ「砧公園がなくなった」とか「この道、環八でいいの?」とかかってくる電話に必死で道順説明中。
はぁ何とか帰ってきてよぅ(T_T)
㈯[天外]すばらしいお嬢ちゃんだね。天外が応援している、といってください。
大丈夫、ちゃんと帰ってきますよ!
サイコセラピー(心理療法)におなじみの方だったら、㈮の時点で、お子さんの盗癖が解消している事がおわかりいただけると思います。
塾生(母親)には、それが読み解けなかったようなので、以下に解説をします。
普通なら、7歳の子どもは母親の傍にいたいものです。
それが、全寮制の学校に行きたいという希望をだしているということは、母親は大好きなんだけど逃れたい、という気持ちがどこかに見え、私は「抑圧」がひどく、憂さ晴らしの盗癖に発展してしまったと判断しました。
そこで、㈰で「情動に寄り添う」というキーワードを投げかけてみました。
案の定、帰ってきた反応㈪は、「働きかけよう」、「なんとかしよう」、「コントロールしよう」という意図がとても濃厚で、ちっとも「情動に寄り添っていない」事がよくわかりました。
㈫では、「感じる事を忘れているんじゃない?」という指摘を入れました。
これは、経営者でも親でも教師でも、ほとんどの人にあてはまります。
頭でっかちで、論理的に考え過ぎ、相手の情動に寄り添う事が出来ていないのです。
天外塾で「天外さんのいう通りに従業員にまかせてみたけど、さっぱりうまくいかなかった」という人は、間違いなく「感じる」という事を忘れており、心の中は「コントロール願望」で一杯です。
つまり、まかせているつもりでも、明け渡していないのでちっともまかせ切れていないのです。
ドラッカーを勉強しておられる経営者は多いのですが、ときには、むしろブルース・リーに耳を傾けて欲しいものです。
——Don’t Think. Feel !——
この塾生の場合には、母娘関係は「抑圧」があるにもかかわらずとても良好で、しかもマインドがオープンだったので、私の指摘をそのまま娘さんに話しました。
話すという行為は、「自分が娘にプレッシャーをかけていた」という反省と告白を含んでいます。
娘さんはそれを聞いて、「抑圧とその憂さ晴らし」の回路を断ち切りました。
バスで40分もかかる道のりを歩いて帰ってくるという事は、娘さん自身の「解消の儀式」です。
私が、「大丈夫、ちゃんと帰ってきますよ!」と自信を持って言っているのは、自ら進んで実行している「儀式」の場合には、まず事故は起きないからです。
ただし、解消のプロセスも、それを儀式として行動化した事も無意識レベルの話であり、本人に聞いてもわかりません。
外から観察して推定するだけです。論理的なプロセスとはまったく違います。
なお、このように「儀式」を実行する事は、解消を定着させるために大切です。
それがひとりでに出来たこの娘さんは、精神が自立しており、発達がきわめて健全です。
「サドベリースクール」での教育がとてもうまくいっているという事でしょう。
企業経営でも、節目々々で「解消の儀式」を演出・実行する事はマネジメントの重要な役割です。
山田昭男さんが創業した未来工業では、昼食の食券がありません。
従業員は毎月自分が食べた分を自分で申告します。
山田さんは、「どうせお前らは泥棒だろうから、どんどん少なめに申告すればいい」と言い放っています。
ところが、給食会社の報告と従業員の自己申告は、毎月ピッタリ一致している、ということです。
経理も購買も出張旅費精算も、未来工業では一切チェックのメカニズムがないので、もし不正をしたかったら、いくらでもできます。
たまたま食堂では給食会社からの報告があるので、不正がないことが証明されていますが、他は不正があるかないかもわかりません。
従業員にまったく「抑圧」を与えない経営をしている自信があれば、チェック機構は不要であり、莫大なコストを削減できます。
これがまさしく「奇跡の経営」です。
なお、山田昭男さんの特別セミナー3期生は、2013年4月—6月に開講します(下記参照)。
以下略~
~以上
天外伺朗
(どうぞご自由に転送、引用して下さい)
http://www.officejk.jp
officejk@onyx.ocn.ne.jp