「どーも」ぐらい言えよ!


深夜から、雪が10センチ以上は降り、本日5%割引のスーパーへ向かう、やっと一人が歩けるスペースしかない雪の積もった歩道。

子ども連れのお母さんに、道を譲ってやったのに、深い雪の中に足を突っ込んで避けてやったのに、もう。


「せめて、会釈ぐらいしろよ!」


あー、またイライラ虫が湧いて来た。

ダメダメ虫に取り憑かれた。


でも、

小さい声で聞こえなかったのかもしれない。会釈したのを見逃したのかもしれない。


この雪の中、ガスか、電気か、は分からないけど、制服姿で、一生懸命な姿に、可愛いらしい姿に、何となく魅力的な姿に、

さっきまでの事は、どーでもよくなって、

結局は、嫌な気分は雪に流して、歩みを進めている。


僕の両目を下目から上目に変えると、向かい側から、ワンちゃん連れのお父さん。

僕の両足は横へ、10センチぐらいの雪の中へ。


「すいませーん」

そして、お父さんと一緒に、ワンちゃんも可愛く会釈、笑顔で会釈。


「ごめんなさーい」

そして、心の狭い、イライラ虫をダメダメ虫を反省。僕は、ワンちゃん以下だ。


でも、

「あの検針員、可愛いかったなー!」


ワンちゃんが振り返って、

「いい加減にしろよ、親父!」

「今の会釈を返せ!」


僕も、振り返って、

「ワンちゃん、イライラ虫は、ダメダメよ!」