ある実験のため、小学生をたくさん集めて、二つのグループが作られました。

 そこで、積み木の問題を出題します。

 一つのグループには、比較的簡単に解くことのできる問題をいくつか出しました。

 実際、小学生たちも解けました。

 その後、やや難しい問題を出しました。

 これも、小学生たちは頑張って解くことができました。

 次に、別のグループです。

 最初に、むちゃくちゃ難しくて、解けない問題を出しました。

 小学生たちは当然解けません。

 それをいくつか出した後、前のグループと同じ、頑張れば解ける問題を出しました。

その問題も、やっぱり解けませんでした。



 同じ問題であっても、その前の問題の難易度によって、解けるかどうかが変わりました。

 このように、わざと難しいのを最初に出して解けなくさせるのを、無力感の学習といいます。

 小学生達は、できない体験を積むことで、「自分はできない」と思い込んで、実際に能力が下がっていくのです。

 教育の仕方がいかに重要かよくわかりますね。


 上記のような実験であれば、このように能力の低下が起こることは簡単に理解できることでしょう。

 でも、多くの人が同じような間違いを気付かずにしています。

 典型的な例が、ダイエット。

 世の中にはダイエットの方法はゴマンとあります。

・ウォーキングダイエット

・炭水化物ダイエット

・食事抜きダイエット

等々、挙げていけばきりがありません。

 多分、どれも正しく実践すれば、ダイエットは可能なのでしょう。

 しかし、成功する人は多くありません。

 もし、みんなが成功するのであれば、こんなに何種類もダイエットの方法が提案されるわけがありません。

 では、なぜ成功できないのでしょう?

 突き詰めてみれば、要因はたった一つ。

 継続できるかどうかです。

 続けられないことで、無力感が学習され、それが負のスパイラルとなって、新しい方法を試しては失敗の繰り返しになります。


 逆に言えば、ダイエットのコツは、長期間続けることを第一の目標にすればよいことになります。

 長期間続けるための注意点は二つ。

 無理のない計画たてることと、それを成功体験として持つことです。

 例えば毎朝20kmのジョギングをする、お菓子は一切食べない、夕食は野菜のみ。

 こんな風なダイエットでは、失敗したいと言っているようなものですね。

 最初は、高い目標に対する決意でワクワクしているかもしれませんが、3日も続くかどうか。

 20kmのジョギングよりは、まずはエレベーターの代わりに階段を1回分だけ歩く、

 お菓子は食べないのではなく、普段の半分はいつも通り、もう半分は一回は低カロリーのお菓子にする。

 そして、それを続けて成功体験として達成感を味わえば無力感の学習の反対の自己効力感が得られるようになります。

 それが無理なく続けられるようになって、次の小さなステップに進みます。

 身も蓋もありませんが、結局はこうした地味な積み重ねが必要なのです。