最近、近所で田んぼを埋め立てて家を建てています。

 どんどん、農地が減っていって、とても悲しいです。

 それはさておき、現場には住宅メーカーの「安全第一」の立て看板があります。

 そういえば、最近は安全、安心という言葉をよく聞きますね。

 家の近くの工場にも「安全はすべてに優先する」の横断幕が。

 それで、昔聞いた話を思い出しました。

 安全とは、女王様の冠だと。

 すなわち、「女王」という漢字の上にうかんむりと入りがしら?を付けると「安全」という字になります。

 なるほどなあ、といろんな意味で納得します。



 女王様というと、なんとなく暴君のイメージがあります。
(私だけかもしれませんが)

 そして冠は権威の象徴。

 つまり安全とは絶対的な権威であり、その名の元では他のすべては制限される、というような。

 それぐらい安全は重要だと言いたいのでしょうが、そこまで言われると、そうか?と疑いたくもなります。

 そもそも安全とは何でしょう?

 危険でないこと?

 では危険とはなんでしょう?

 この場合は、英語に直してみると色々とわかります。

 和英辞典で危険を調べてみると、いろんな単語が見つかりました。

 danger、hazard、risk、他(残りは省略)

 この中では、dangerが最も一般的に使われるようです。

 日本語の「危険」とほぼ同じ。

 ハザードは予測可能だが避けられない危険、といったニュアンスが含まれていて、リスクは何かを行う場合に伴う賭けの意味合いが強いそうです。

 ハザードとリスクについては、以前環境リスクの話を書いたときにも出てきました。

 例えばある農薬を使った野菜を食べる際に、ハザードはその農薬を一定量口にした時に生じる腹痛とか吐き気などの毒性の危険を言います。

 リスクは、上記のような危険に対して、その農薬が野菜に多量に散布され、それが残留していて影響が出る程度まで食べる可能性を掛け合わせたものです。

 このような危険の中で、本当に避けるものは、ハザードでしょう。

 わざわざたくさん農薬がついた野菜を選んで食べて、ハザードを体験する人はいないでしょう。

 では、慣行の農法で普通に(法律で守られた範囲内で農薬を使用して)作られたと思われる野菜を食べるのは?

 これはハザードではなく、リスクとなります。

 故意もしくは過失により、健康に影響が出るくらい残留農薬のかかった野菜を口にする可能性もゼロではありません。

 しかし、このようなリスクも安全のために、できるだけ避けた方がいいでしょうか?



 基本的には、何かを行う際にはメリットとデメリット、両方の効果があるとしたもの。

 上記の野菜の例で言えば、残留農薬の害を受ける可能性はゼロではないというデメリットがある反面、虫食いのない野菜を安価に入手できるというメリットがあります。

 リスクを過度に恐れるのは、逆に何もしないというリスクを負うことにもつながります。

 どうも最近の日本人は、過剰にリスクを評価して受け身になっているような気がします。



 このような風潮があるせいでしょうか、うちの子供が通っている高校の先生が、生徒たちによく言っている言葉があります。

 曰く、「死ぬこと以外はかすり傷」だそうです。

 言うまでもなく、チャレンジすることを恐れるな、という励ましです。

 高校生に限らず、我々もチャレンジ精神を失わずにリスクを取っていきたいものです。