我が家の高校生の長女は、数学が苦手です。

 妻は、長女をフォローするつもりで、いつも言います。

 女の子は数学ができないから大丈夫、と。

 確かに、よくそう言われるようですね。

 で、それは本当なのでしょうか?

 実は、ステレオタイプ脅威というのがあります。

 ある固定観念を持つと、実際にその固定観念の通りになるように能力が低下してしまうことです。

 この例で言えば、女の子は数学が苦手という固定観念があって、実際に長女は数学が苦手になる、というような。

 これは、例えば数学のテストの前に、答案用紙に性別を書かせるとか、「これからかなり難しい数学のテストをします」とか、ちょっと意識させただけで能力が低下してしまいます。

 このような能力の低下が起こるメカニズムとしては、まず、苦手なテストを行うということで不安を感じます。

 そして、それによりやる気がそがれ、良い点をとれるという期待が低くなります。

 作業記憶(脳の中で情報を一時的に記憶して、その情報を操作する機能)が低下します。

 テスト中でも、テストの問題とは無関係なことが頭に浮かんで集中できません。

 そして、予定通り悪い点数となってかえってきます。

 気づかずに、自分で自分の能力を低下させているなんて恐ろしいですね。



 では、この対策は?というと、意外と簡単な方法でできる解消法があります。

 それは、簡単な作文をすること。

 内容は、自分にとって重要なものは何か?

 そして、それがなぜ重要なのか?

 ほんの15分くらいかけて、紙に書いてみます。

 たったこれだけ?と思うかもしれませんが、効果は実験により確認されています。

 米国の学校で、生徒に上述の作文を書いてからテストを受けてもらいました。

 米国では、黒人の子供は、白人の子供より成績が劣りがちとの統計結果があります。

 この人種間の差もステレオタイプ脅威の典型例です。

 しかし、作文を書いた黒人の子供は、成績が明確に改善したのです。



 上述のような、人種や性差以外にも色んなステレオタイプがあります。

 例えば血液型がB型だと、細かな心遣いができないとか、年取ったから物覚えが悪くなったとか、田舎者は垢抜けていないとか。

 これらはいずれも統計的に有為でなく、ステレオタイプ脅威の一例と言えます。

 他にも、皆さんも一つや二つ思い当たるのがあるのではないでしょうか

 もし、こういったことで悩んでいる人は、是非とも一度作文を書いてみてください。

 これで、もし克服できれば、実に素晴らしいことではないでしょうか?