以前、メルマガで帰化植物により生物の多様性が損なわれる、ということを書いたところ、質問がありました。
曰く、生物の多様性が損なわれることが、なぜ悪いのか?とのこと。
かなり根源的な問題です。
昔、少年犯罪が多発した時に、「人を殺すことがなぜ悪いのか?」という問いかけがよくされていましたが、それに匹敵する問題かもしれません。
そういうことで、今回は生物多様性についてについて考えて見たいと思います。
まずは、話を単純化してみましょう。
畑で1種類だけの作物を植えている場合と、2種類、4種類、8種類と種類を増やして植えた場合で生育を比較した実験があります。
結果は、種類が増えるほど生育が進んで、生産される有機物の量が増えるとともに、土壌中の窒素分が減っていたそうです。
この原因の一つとして、異なる種類の植物は、必要とされる養分バランスも異なるため、土壌中での養分がムラなく使用されるため、とされています。
このように植物の種類が増えることによって多くの植物が健康に育つと、色んなメリットがあります。
有機物の生産が増え、その残渣が堆積して土壌は肥えていきます。
また、窒素などの土壌の養分を植物体内に取り入れて固定することにより、地下水などに栄養分が流れ込むのをふせぎ、水質も改善されます。
光合成で二酸化炭素を吸収したり、蒸散で水蒸気を放出することにより気象条件も安定して、砂漠化も防止されるます。
個々の植物の生育が促進されるだけでなく、多様性そのものも環境によい働きをもたらします。
例えば、時間的、空間的な環境変動に対応することができます。
色んな植物の中には、今が絶頂期で他を圧倒して栄えている植物もあれば、絶滅寸前で青息吐息の植物もあります。
今は優性であっても、何百年何千年も経つと気候条件が不利に働いて絶滅寸前となるかもしれません。
逆に今は絶滅寸前であっても、何百年何千年も経つと気候条件が有利に働いて優性となるかもしれませn。
ここで今、絶滅寸前の植物が本当に絶滅してしまうと、優性になりようがありません。
ということは、優性な植物がいなくなり、緑が失われて地面がむき出で荒れてしまうことにもなりかねません。
さらに、昆虫など、森林や草原で生活している生物も、植物の多様化に伴って多様化します。
この中では、肉食性の昆虫が増えます。
草食性の昆虫は、種類は増えるものの、一種類あたりの個体数は減るそうです。
ということは、特定の害虫の大発生による被害が減ることになります。
こういったさまざまな面から、生物の多様性を守ることは、重要となる訳です。
余談ながら、では多様性を守るためにはどうすればいいでしょう?
自然をそのまま残せばいいのでしょうか?
実は、そうでもありません。
日本各地での、植物の分布を調査した結果があります。
それによると、一番植物の種類が多かったのは、原生林がそのまま残る地域ではなく、里山地域だったそうです。
自然のままですと、極相といってその土地の環境に応じた特定の種類の植物のみが生き残ることになりますが、人間が適度に攪乱することによって、色んな植物が生育できるようになるのです。
話は戻って、そういう訳で多様性を保つことが重要な訳ですが、これは、作物栽培においても利用したいですね。
上述の通り、複数の植物を植えると、一種類のみの場合よりも生育が促進され、害虫による被害も少なくなります。
種類は、できるだけ多いほうが良いです。
そうはいっても、面倒。
単一作の方が、効率がよいし、農業機械を使用する観点からもらくちんです。
そこで、例えば米では、同じ食味で耐病性の異なる品種を混植するという試みがなされています。
これなら、最初に植えるとき以外は、ほとんど同じ管理でいいので楽ですね。
野菜等でも、こういった品種を対策がとれるかもしれませんね。
あとは、せめて輪作くらいはしたいものです。
ところで、植物の話ばかり書いてきましたが、人間の場合はどうなんでしょう?
学校の入学試験や会社の採用試験で、似たような人ばかり入れていたりしないでしょうか?
最近は、一芸に秀でた人を、とかいっていますがハキハキとして自我が強くて積極的な人、という意味では画一的な気がします。
こんな風な単作をする学校では、行き着く先は生徒の生長不良とか、吸収される学習量が低下する、といったことはないのか、気になります。
参考にした本
森田茂紀 阿部 淳 大門 弘幸 栽培学 朝倉書店
東北大学生態適応グローバルCOE編生態適応科学 日経BP社(無料でダウンロードできます)
メールマガジン登録はこちら→農業ビジネスコーチング
曰く、生物の多様性が損なわれることが、なぜ悪いのか?とのこと。
かなり根源的な問題です。
昔、少年犯罪が多発した時に、「人を殺すことがなぜ悪いのか?」という問いかけがよくされていましたが、それに匹敵する問題かもしれません。
そういうことで、今回は生物多様性についてについて考えて見たいと思います。
まずは、話を単純化してみましょう。
畑で1種類だけの作物を植えている場合と、2種類、4種類、8種類と種類を増やして植えた場合で生育を比較した実験があります。
結果は、種類が増えるほど生育が進んで、生産される有機物の量が増えるとともに、土壌中の窒素分が減っていたそうです。
この原因の一つとして、異なる種類の植物は、必要とされる養分バランスも異なるため、土壌中での養分がムラなく使用されるため、とされています。
このように植物の種類が増えることによって多くの植物が健康に育つと、色んなメリットがあります。
有機物の生産が増え、その残渣が堆積して土壌は肥えていきます。
また、窒素などの土壌の養分を植物体内に取り入れて固定することにより、地下水などに栄養分が流れ込むのをふせぎ、水質も改善されます。
光合成で二酸化炭素を吸収したり、蒸散で水蒸気を放出することにより気象条件も安定して、砂漠化も防止されるます。
個々の植物の生育が促進されるだけでなく、多様性そのものも環境によい働きをもたらします。
例えば、時間的、空間的な環境変動に対応することができます。
色んな植物の中には、今が絶頂期で他を圧倒して栄えている植物もあれば、絶滅寸前で青息吐息の植物もあります。
今は優性であっても、何百年何千年も経つと気候条件が不利に働いて絶滅寸前となるかもしれません。
逆に今は絶滅寸前であっても、何百年何千年も経つと気候条件が有利に働いて優性となるかもしれませn。
ここで今、絶滅寸前の植物が本当に絶滅してしまうと、優性になりようがありません。
ということは、優性な植物がいなくなり、緑が失われて地面がむき出で荒れてしまうことにもなりかねません。
さらに、昆虫など、森林や草原で生活している生物も、植物の多様化に伴って多様化します。
この中では、肉食性の昆虫が増えます。
草食性の昆虫は、種類は増えるものの、一種類あたりの個体数は減るそうです。
ということは、特定の害虫の大発生による被害が減ることになります。
こういったさまざまな面から、生物の多様性を守ることは、重要となる訳です。
余談ながら、では多様性を守るためにはどうすればいいでしょう?
自然をそのまま残せばいいのでしょうか?
実は、そうでもありません。
日本各地での、植物の分布を調査した結果があります。
それによると、一番植物の種類が多かったのは、原生林がそのまま残る地域ではなく、里山地域だったそうです。
自然のままですと、極相といってその土地の環境に応じた特定の種類の植物のみが生き残ることになりますが、人間が適度に攪乱することによって、色んな植物が生育できるようになるのです。
話は戻って、そういう訳で多様性を保つことが重要な訳ですが、これは、作物栽培においても利用したいですね。
上述の通り、複数の植物を植えると、一種類のみの場合よりも生育が促進され、害虫による被害も少なくなります。
種類は、できるだけ多いほうが良いです。
そうはいっても、面倒。
単一作の方が、効率がよいし、農業機械を使用する観点からもらくちんです。
そこで、例えば米では、同じ食味で耐病性の異なる品種を混植するという試みがなされています。
これなら、最初に植えるとき以外は、ほとんど同じ管理でいいので楽ですね。
野菜等でも、こういった品種を対策がとれるかもしれませんね。
あとは、せめて輪作くらいはしたいものです。
ところで、植物の話ばかり書いてきましたが、人間の場合はどうなんでしょう?
学校の入学試験や会社の採用試験で、似たような人ばかり入れていたりしないでしょうか?
最近は、一芸に秀でた人を、とかいっていますがハキハキとして自我が強くて積極的な人、という意味では画一的な気がします。
こんな風な単作をする学校では、行き着く先は生徒の生長不良とか、吸収される学習量が低下する、といったことはないのか、気になります。
参考にした本
森田茂紀 阿部 淳 大門 弘幸 栽培学 朝倉書店
東北大学生態適応グローバルCOE編生態適応科学 日経BP社(無料でダウンロードできます)
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